2024/11/26

Taiwan Today

政治

自転車で楽しむ台湾(1)海外観光客も魅了するサイクリングツアー

2018/01/03
「自転車王国」とも呼ばれる台湾。時代の変化に伴い、台湾の自転車産業は高度化や構造転換を経て、いまでは旅行業界にも進出し、サイクリング人口のさらなる掘り起しに努めている。写真は格安航空券比較サイト「スカイスキャナー」により「世界八大サイクリングロード」の一つに選ばれた台湾中部・南投県の「日月潭環湖単車道(日月潭周遊サイクリングロード)」。(中央社)
「自転車王国」とも呼ばれる台湾。時代の変化に伴い、台湾の自転車産業は高度化や構造転換を経て、いまでは旅行業界にも進出し、サイクリング人口のさらなる掘り起しに努めている。
 
現在、台湾のサイクリングツアー市場で圧倒的シェアを誇るのがサイクリング専門の旅行社「捷安特旅行社(ジャイアントアドベンチャー)」だ。自転車製造大手の巨大機械(ジャイアント)の創業者、劉金標(キング・リウ)氏が自転車で台湾1周を果たしたことを機に、サイクリングブームを盛り上げるため、2009年に設立した。2016年にはサイクリングツアー参加者が8,000名を超えた。サイクリングツアーだけで1億5,000万台湾元(約5億7,000万日本円)ほどのビジネスチャンスを創出するのに成功したのである。
 
ジャイアント製自転車のレンタル業者、永丞單車生活館(台湾南部・台南市)の李冀儕店長は、捷安特旅行社が企画するサイクリングツアーのベテラン・サポーターでもある。「多くの外国人は台湾(Taiwan)とタイ(Thailand)の区別もつかない。しかし、自転車の話題になると、誰もが台湾のことを良く知っている」、「台湾を売り込むために、自転車は最も特色を持ったツールであり、最高の成功例だ」と李店長は語る。
 
サイクリングツアーはディープ観光の一種に属する。これまでは欧米の観光客や、アジアでは日本や韓国からの観光客が、サイクリングで台湾観光を楽しむ傾向があった。しかし最近はマレーシア、シンガポール、マカオからの観光客が明らかに増加している。
 
台湾を訪れる外国人で2番目に多いのが日本人だ。2016年、台湾を訪れた日本人観光客は延べ189万5,702人に達した。台湾の大手旅行社、雄獅旅遊グループ(ライオントラベルグループ)は2018年元日、日本人向け台湾旅行に強い同業の保保旅遊(ボビートラベル)と新会社「雄保旅遊(ライオンボビートラベル)」を設立したばかり。台湾を訪れる日本人観光客へのサービスを強化する方針で、そのうちの一つが「鉄道旅行とサイクリングツアー」を組み合わせたツアーだという。
 
交通部観光局(日本の観光庁に相当)も近年、サイクリングツアーのアピールに力を入れている。2017年末にはイギリスの女性ブロガー、Juliet Elliottさんを台湾に招いた。Juliet Elliottさんは自転車で台湾を一周し、その過程を撮影した動画をYoutubeで公開。再生回数はすでに数万に達している。Juliet Elliottさんは「台湾西部のサイクリングロードは平坦な道が多い。東部は山が多くチャレンジ性が高い。サイクリングロードの違いだけでなく、現代的な生活と伝統的な生活というスタイルの違いもはっきりしている。それに沿道で楽しむグルメも最高。独特で豊富な経験をすることができる」と語っている。
 
サイクリングツアーだけでなく、台湾ではヒルクライムレース「台湾KOMチャレンジ(Taiwan KOM Challenge)」も行われている。台湾東部・花蓮県七星潭をスタートして、深く切り立つタロコ渓谷を経由し、標高3,275mの合歓山・武嶺を目指す。全長105㎞のこのコースは、海外からも高い評価を受け、世界トップクラスの選手たちを引き付けている。これもまた、台湾のサイクリングツアーを海外の人々に知ってもらうためのきっかけになっている。
 
台湾ではサイクリングツアーのコースが完全に整備されていることが、海外の観光客にとって大きな魅力となっている。捷安特旅行社が企画するパッケージツアーを例に挙げると、全行程の交通、宿泊、食事などの手配に加え、専門のスタッフが随行して撮影を行うことになっている。また、給食・給水車を出動するサービスも行っている。車内には食事、飲料、自転車部品など、人と自転車が必要とする様々な物品が備えられている。自転車修理を専門に行うスタッフが修理道具を携帯して随行してくれるので、参加者は安心してツアーを続けることができる。
 
現在台湾で企画されているサイクリングツアーの日程は、参加者のレベルに応じ、初心者向けの「レジャーレベル」、中級者向けの「スポーツレベル」、プロ級の「チャレンジレベル」に分けることができる。また、個人参加者向けのコースや団体参加者向けのコース、それに参加者のニーズに応じてカスタマイズしたオリジナルコースなどがある。コースの内容についても、例えば「チャレンジレベル」については、自転車で台湾を1周するコースのほか、標高3,275mの合歓山・武嶺を目指す「日月潭-武嶺コース」、「台湾縦断コース」、中級者向けなら「花東横断コース」など多様な選択肢があるのが特徴だ。
 

ランキング

新着