中国大陸側は台湾海峡両岸の協議と意思疎通を経ないまま、4日に航空路「M503」の北方向けの運用(北上)と、「W121」、「W122」、「W123」の使用を開始した。これに対し、行政院(内閣)大陸委員会(陸委会)は4日、声明を発表して中国大陸側を批判すると共に厳重な抗議を行った。声明の内容は以下の通り。
一、飛行の安全は国際社会が最も重視する基本的な要求である。中国大陸側が今回、両岸間の意思疎通を行わないまま、同時に4本もの航路の使用を開始したことは、2015年3月に双方の「空運小両会」(台湾の台北市航空運輸商業同業公会と中国大陸の中国航空運輸協会海峡両岸航空運輸交流委員会)が協議して得た結果に反する行いであるばかりでなく、民間航路の名を借りて台湾に対する政治的、さらには軍事的な企てを隠すものであり、台湾海峡の現状を変更しようとする意図が疑われる。このため政府はこのことを、両岸関係と飛行の安全に影響する事件であると厳粛に受け止め、中国大陸側に対して強い不満を表明し、抗議を行った。
二、2015年に両岸が意思疎通を行った中で、中国大陸側は「M503」航路は南下のみの「一方通行」であること、そして「W」航路の使用は始めず、使用開始の時期は双方が意思疎通をした上で確認することを重ねて保証した。今回、中国大陸側が双方の協議を経ないまま直接使用を始めたことは、国際的な民用航空の規範を全く守らず、飛行の安全を無視すると共に台湾を尊重しない軽率なやり方である。政府は安全面で深刻な疑問の残る同航路を各方面が使用しないよう呼びかける。
三、我々は中国大陸側に対し、関連の飛行活動を即刻停止すると共に、双方の飛行団体による意思疎通が始められるよう直ちに調整を行い、飛行の安全と人々の福祉を確保することを要求する。中国大陸側が独断専行するならば将来の両岸関係に影響する全ての深刻な結果は中国大陸側が責任を負わなければならない。