2024/11/25

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ウコンによるがん治療法、国立中正大学准教授が特許

2018/05/23
春ウコンに特定の波長の光線を照射し、がん細胞を攻撃するフリーラジカルを生成させるというがん治療方法を研究・開発した国立中正大学生物医学科学科の李政怡准教授。ウコンという天然の生物資源に由来するものを利用したこの治療方法は、人体に及ぼす副作用がほとんどなく安全だ。(中央社)

国立中正大学(台湾中南部・嘉義県)生物医学科学科の李政怡准教授が研究・開発した春ウコンを用いたがん治療法が特許を取得し、医学誌International Journal of Nanomedicineに掲載された。

李准教授はかつて、がんを患った友人が化学療法による治療の効果が得られず、この世を去っていくのを目の当たりにしていた。またそうした友人たちが化学療法の副作用に苦しむ姿を見て、それらの薬物の副作用が、人体に大きな痛みを与えることを実感した。このような経験を経て、李准教授は、天然の生物資源に由来するもので、安全かつがん治療に効果的な方法を生み出すべく研究を重ね、春ウコンを用いた新たな治療法の研究を開始した。

 

李准教授は研究の経緯について、「文献によると、春ウコンは光の刺激を受けると反応する特性がある。この特性を生かして、春ウコンに特定の波長の光線を照射し、がん細胞を攻撃するフリーラジカルを生成させることができた」と説明した。春ウコンに照射するのは、420ナノメートルのLED青色光で、時間は約30分間。これでがん細胞を攻撃するフリーラジカルを生成させることができるという。

 

しかし、フリーラジカルは正常な細胞にも損傷を与える可能性がある。そこで李准教授は、春ウコンを覆うための有機ナノ粒子を製造した。ナノ粒子は、EGFR(上皮成長因子受容体)と呼ばれるがん細胞の増殖に関わるタンパク質を識別することができ、がん細胞に遭遇するとがん細胞特有の分子に対する分子標的治療効果を発揮し、春ウコンをがん細胞まで送ることができる。

 

春ウコンは照射したときのみフリーラジカルを生成するので、肝臓や腎臓への過度な吸収による毒性の心配がない。さらに有機ナノ粒子の成分はキトサンという多糖類の一種で、ゼラチンなどの食品の製造にも広く使用されており、春ウコンと同じく天然の生物資源に由来するため、人体に摂取しても異物とは認識されず安全性が高い。また春ウコンを用いたがん治療法を受けたがん患者の化学療法における抗がん剤の投与量は、従来より4分の1減らすことができる。

 

分子標的治療の実験では、EFGRタンパクが過剰発現した胃がん患者の細胞に対して行われた。実験結果からこの治療方法は、大部分のがん細胞を死滅させることに効果があることがわかった。また、多くのがん患者に過剰なEFGRタンパクが発現しており、肺がんが特に目立っている。この治療方法は、肺がんのみならず、その他のがんにも適用できることが判明した。

 

乾燥してパウダー状にしたウコンの根茎は、ターメリックと呼ばれカレーのスパイスに欠かせない。李准教授は、将来的には病院と連携して積極的にがん治療に使用していきたいとしている。李准教授が研究・開発した治療方法は、人体に及ぼす副作用がほとんどなく、既に特許も取得、医学誌International Journal of Nanomedicineにも掲載された。

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