過去に何度か魚市場で新種を発見した経験を持つことから「市場の魚博士」と呼ばれる国立海洋生物博物館の何宣慶副研究員と研究チームは7月31日、動物分類学の学術誌『Zootaxa』に論文17本を掲載し、ウナギ目の新種20種(そのうち16種は台湾周辺海域に生息)を発表した。
「海洋科学に国境なし」と話す何宣慶副研究員は、政治問題に触れることを避けながらも、自分の専門分野で世界に向けて台湾をアピールするために努力していることを強調した。今回発表した新種20種のうちアサバホラアナゴの新種は、台湾の古い名称である「フォルモサ」を冠して「Dysomma formosa」と名付けた。何副研究員は数年前にもアサバホラアナゴの別の新種を発見し、「台湾」の名を冠した「台湾前肛鰻(Dysomma taiwanense)」と名付けたことがある。
今回の発表により、台湾に生息するウナギの種類は14科79属232種に増えた。研究チームはこのほか、学名の誤用や鑑定ミスなどが多数存在することを発見した。また、前回の発表を含めると、研究チームはウナギの新種37種を発見しており、同チームが発見したウナギの新種は、約10年間に世界で発見された新種のおよそ半分を占めるほどとなっている。つまり、世界のウナギ研究に新たな知識を提供していると言える。
何宣慶副研究員によると、台湾には数多くの海洋生物が生息しており、その比重は世界全体の約10%に達している。魚類の多様性も同様であり、一部の魚類群の分布について厳密な調査を行うとしたら、学術界の予測を大きく上回り、世界全体の20%以上が台湾の周辺海域に生息している可能性もあると指摘する。
研究チームは今回、ウナギ目アナゴ科の魚類についても整理を行った。その結果、当初記録されていた30種類ではなく、実際には44種類存在することが分かった。例えば、学術界では世界に2種類しかいないとされていたBathyurocongerは、今回の研究の結果、台湾の周辺海域で新種2種、ハワイとフィリピンでそれぞれ新種1種を発見。Bathyurocongerの種類は当初の3倍に相当する6種類に増えた。
また、アサバホラアナゴは現在世界に17種類存在すると言われている。そのうち7種類が台湾で見つかった新種だ。全17種類のうち、台湾の周辺海域には半分以上に相当する11種類が生息している。
台湾におけるウナギの分類研究は2009年より準備が進められてきた。6年かけてようやく『台湾鰻魚研究学術専刊』にまとめ上げ、海外の学術界からも高い評価を受けた。この研究過程で次々と新種が発見された。今回の論文発表は、それから3年近くにわたる専門家たちの研究の成果をまとめたもの。