バチカンを訪問中の陳建仁副総統は14日、サン・ピエトロ大聖堂で行われたパウロ6世教皇らの列聖式に出席した。陳副総統は列聖式前にローマ教皇フランシスコと単独で会見した。
キリスト教ローマ・カトリック教会の総本山であるバチカンは9月22日、長年対立してきた司教の任命権問題で、中国政府と暫定合意する協定に署名した。中華民国(台湾)とバチカンの外交関係に与える影響について懸念が広がる中、陳建仁副総統は11日、バチカンへ向けて出発した。
列聖式後に陳副総統が明らかにしたところによると、陳副総統はこの単独会見で、ローマ教皇フランシスコに対して台湾訪問を要請した。これに対して教皇は微笑むだけだったが、その後、自ら「蔡英文総統によろしくお伝えください」と述べ、会見が終わるときにも再度、同じ言葉をかけてきた。陳副総統はこれについて、自分にとって驚きであり、喜びでもあったとコメントした。
また、陳副総統が教皇に対し、台湾のために祈って欲しいとお願いしたところ、教皇は「それは当然のことだ」と答えたという。教皇もまた陳副総統に対し、バチカンと教皇のために祈りを捧げて欲しいと述べ、陳副総統は「それは台湾の信徒たちが心から望んでいることだ」と喜んで受け入れた。陳副総統が台湾から持参した贈り物を教皇に手渡すと、教皇は非常に喜んでいたという。
陳副総統が教皇のために準備した贈り物とは、長年台湾で奉仕活動を行い、すでに100歳を超えるスペイン出身の神父、頼甘霖(本名はAndrés Díaz deRábago)さんのドキュメンタリーDVDで、頼甘霖神父が自らサインしたもの。また、台湾の離島、金門で奉仕していたアルゼンチン出身の故・費峻徳(Ricardo Ferreira)神父の画集。費峻徳神父は、教皇がアルゼンチンにいたころの旧友と言われている。さらに、台湾で制作された教皇フランシスコの就任4周年を祝賀する記念DVD。台湾のカトリック教会と信徒たちが教皇を慕う気持ちが込められたものだという。
なお、陳副総統は2年前にも中華民国(台湾)を代表し、慈善活動に尽力した修道女の故マザー・テレサの列聖式に出席するためバチカンを訪れている。