2024/05/05

Taiwan Today

文化・社会

アンネの日記と台湾の元慰安婦の人生から「戦争とは」考える展示、台南で  

2019/04/12
台南市の国立台湾文学館でこのほど、アンネの日記と台湾の元慰安婦から「戦争とは何か」を考える展示が始まった。アンネの日記のレプリカなどが展示されている。(文化部ニュースリリースより)
台湾南部の台南市にある国立台湾文学館でこのほど、アンネの日記と台湾の元慰安婦から「戦争とは何か」を考える展示「安妮與阿嬤相遇─看見女孩的力量(アンネと阿嬤〈元慰安婦のおばあさんたち〉の出会い−女性のパワー)」が始まった。主催は同館と婦女救援社会福利事業基金会の博物館「阿嬤家─和平と女性人権館」、オランダの博物館「アンネ・フランクの家」が共催している。
 
会期は2019年4月11日から8月18日まで。会場の台湾文学館C展示室には、アンネの綴った日記のレプリカなどが展示され、アンネが住んでいた屋根裏の隠れ家が再現されている。また、台湾の元慰安婦が突きつけられた人生における苦しみや、芸術創作で自分を取り戻していった道のりなどを見ることができる。
 
台湾文学館の蘇碩斌館長は、アンネと阿嬤の生きた時空は異なれど境遇には共通するものがあると指摘、文字をパワーに代え、人が互いに尊重し合い、いかなる人も平等に扱われるべきであることが最も深く胸に刻み付けられると述べた。
 
台北市婦女救援社会福利事業基金会の葉徳蘭董事長は、同基金会にとり国レベルの博物館と協力するのは初めてだと指摘。立場を自分に置き換えて、強い生命力を持った女性たちの物語を時間という長い河の流れにかき消されないよう考えて欲しいと述べた。
 
開幕にあたり、オランダの在台湾大使館に相当する、オランダ貿易・投資弁事所のアンドレ・フェルカーデ(范安治)副代表(副大使に相当)、国立成功大学ジェンダー・女性研究センターの蔡玫姿主任、台南市新聞・国際関係処の劉怡伶処長があいさつし、アンネと阿嬤の物語と記憶により多くの人が関心を持ち、これを分かち合ってほしいとの期待を語った。
 
国立台南女子高等中学校(高等学校)の鄭文儀校長は、自身が同校の前身・台南州立第二高等女学校で学んだ慰安婦の小桃おばあさんの物語を涙ながらに紹介。同校が教育部(文科省に類似)国民および学前教育署に人権教育リソースセンターに選ばれたと指摘し、台湾文学館とさらに密接に協力し、より多くの若い人たちに見にきてほしいと述べた。
 
アンネと阿嬤ははるか遠く離れた空間に生きながら、同じように戦争でつながっている。彼女らの出会いを通じて女性の視野から人類が戦争の前に強いられた沈黙、訴え、抵抗を見つめ、それでもなお生を求めるパワーを感じることができる。誰もが選択を迫られた時代において、これは彼女ら、そして私たちの平和の夢なのだといえよう。
 
同館は人々と手を取り、女性が文学の中で傷を克服し前に進んでいくパワーを見出し、歴史の傷跡を平和の礎とし、尊重、権利平等化、非暴力の未来を実現したいとしている。女性の目、女性の訴え、女性の物語を通じ、さまざまな角度から戦争の姿を鮮やかに理解することができるかも知れない。

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