2024/05/02

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文化・社会

蔡依林、ゴールデン・メロディ・アワードで最優秀アルバムと最優秀楽曲の二冠

2019/07/02
第30回「金曲奨(ゴールデン・メロディ・アワード)」の授賞式典が6月29日に台北市内で行われ、女性シンガーの蔡依林(写真)が「Ugly Beauty」で年間最優秀アルバム賞を獲得、さらに「玫瑰少年」で年間最優秀楽曲賞も受賞した。(中央社)
第30回「金曲奨(ゴールデン・メロディ・アワード)」の授賞式典が6月29日夜に台湾北部・台北市にある多目的体育館・台北アリーナで行われ、女性シンガーの蔡依林(ジョリン・ツァイ)が「Ugly Beauty」で年間最優秀アルバム賞を獲得、さらに「玫瑰少年(Womxnly)」で年間最優秀楽曲賞も受賞した。年間最優秀アルバム賞と年間最優秀楽曲賞の二冠となった蔡依林は感慨深げに、自分は常に歌うための情熱を探し続けてきたと明かし、受賞作の「Ugly Beauty」は従来とは異なる創作方法に大胆に挑戦したものだったと説明した。蔡依林のもとにはこれまでずっとファンたちのプライベートな告白が届いていた。そこで、「ファンたちのために何かを語ることこそ自分がすべきことではないか」と考えたのだという。
 
また、「玫瑰少年」が年間最優秀楽曲賞に輝いたことについて蔡依林は、受賞したかどうかに関わらず自身にとって意義に満ちた作品だとした上で、「多くの物語が自分の生活と考えを変えた。異なる声というものに気付かされた」と述べた。蔡依林はまた、こうした物語は自分に、「何もかもを皆の望むように合わせる必要はない」と思える勇気をくれたのだという。
 
蔡依林自身、過去に差別を受けたり、マイノリティとされたりした経験があり、学生時代にもそうした境遇にあったという。「玫瑰少年」は自らの性的指向が原因でいじめに遭い、15歳で亡くなった葉永鋕さんに敬意を捧げる作品だとされる。葉永鋕さんは2000年、中学3年生の時に学校内のトイレで倒れているところを発見され、病院に運ばれたが帰らぬ人となった。この事件は台湾社会にジェンダー教育に関する議論を巻き起こし、それがきっかけとなって「性別平等教育法」(当初は「両性平等教育法」)が生まれたという経緯がある。
 
「玫瑰少年」は蔡依林と剃刀蒋が共同で作曲、人気バンド・五月天(メイデイ)のボーカル、阿信が作詞した作品で、同性愛者や様々な性的指向・外観の人に代わって、性別にかかわらず自らの身体を大切にし、体が直接感じる気持ちを尊重するよう呼びかけている。
 
蔡依林は葉永鋕さんの物語から自分は「換位思考」(相手と立場を入れ替えて考えてみること)を学んだという。彼女はだからこの作品で思いやりの心を伝えたかった。そして、「あなたを愛し、あなたの言葉に耳を傾ける人はいるのだ」と訴えたかったのである。
 
最大の焦点である年間最優秀アルバム賞は今年、標準中国語(北京語)、台湾最大の方言である台湾語、台湾で二番目に大きいエスニックグループ・客家人の言葉の客家語、先住民族語それぞれの最優秀アルバム賞のノミネート作品に、香港の男性シンガー、陳奕迅(イーソン・チャン)とThe Duo Bandとの合作アルバム「L.O.V.E.」を加えた24作品で争われた。「Ugly Beauty」でこの賞を見事手にした蔡依林は受賞スピーチで女性たちに向けて、「女性として心に言いたいことがあったなら、勇気を持って選択し、真実の自分を見つけてほしい」と呼びかけた。
 
審査員長を務めた女性シンガーソングライターの陳珊妮(サンディー・チェン)は、台湾では昨年様々な出来事があり、若者たちの心、そして昨年リリースされた音楽作品はいずれも悲しみのムードに満ちていたが、蔡依林の「Ugly Beauty」は軽快なリズムで、我々にそうした悲しみを乗り越えさせたことが受賞のカギになったと説明した。これに対して蔡依林は、「音楽人でありパフォーマーである自分にとって真の情熱と興味が何なのかがこれまで以上にはっきりした。『Ugly Beauty』は私の人生のターニングポイントだ」と語った。
 
 

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