温室効果は地球規模の問題であり、気候変動と省エネルギー、二酸化炭素(CO2)削減はいずれも各国が重視する課題となっている。二酸化炭素が温室効果を引き起こすガスとして広く知られているが、100年間で見た場合、その温室効果の強さ(地球温暖化係数=GWP)が二酸化炭素の2万3,500倍に達するのが工業生産で使われる六フッ化硫黄(SF6)である。
地球温暖化係数は様々な気体の温室効果の強さを、同じ当量の二酸化炭素を基準にして比較したもので、一般的に100年間の強さを示す係数が用いられる。六フッ化硫黄を例にとると、1トンの六フッ化硫黄を放出した場合、その温室効果は二酸化炭素2万3,500トンに相当する。
六フッ化硫黄は優れた絶縁性能と消弧能力を持つため、1940年代から高圧遮断器や変圧器など、各国の電力設備に広く利用されてきた。六フッ化硫黄は通常絶縁体として電気設備と一体となって密封されているため、主な放出の原因は設備のメンテナンス、もしくはテスト時の事故だという。
新興科技媒体中心(SCIENCE MEDIA CENTER TAIWAN)によると、台湾には六フッ化硫黄の排出を減らすための、明文化された禁止条項は無いが、各産業は自主的に対処して影響を最小限に抑えている。電力設備での排出量を例にとると最も多かったのは2004年で、二酸化炭素205万3,000トンに相当する量だった。しかし台湾電力株式会社による処理と維持管理、及びリサイクルのメカニズム推進などにより、2016年には7万9,000トン相当まで減らすことが出来た。
台湾全体での六フッ化硫黄排出量は、2004年の二酸化炭素519万3,000トン相当をピークに、金属生産、電子工業、電力設備など各産業が協力した結果、2016年には2004年から約79%減らすことに成功しているという。