2024/05/07

Taiwan Today

文化・社会

自転車台湾代表の葉羽霜さん、記録映像がガールズデー映像コンペ大賞

2019/10/09
教育部による「台湾ガールズ・デー」の写真と短編フィルムによるストーリーテリングコンテストのグランプリに輝き、喜びいっぱいの「谷慕公主的破風魂」の主人公、葉羽霜さん(左)とこれを撮影した李嘉慈さん(右)。(中央社)
台湾先住民族のタイヤル族、葉羽霜さんは19歳、佛光大学(台湾北東部・宜蘭県)に通う自転車競技の台湾代表選手だ。小柄な体形ながらサイクリングにおいては天賦の才の持ち主で、アジアマウンテンバイクシリーズで優勝した経歴を持つ。葉羽霜さんの練習風景や競技会を記録した映像作品がこのほど、 教育部(日本の文部科学省に類似)が開催する「台湾ガールズ・デー」の写真と短編フィルムによるストーリーテリングコンテストの大学・専門学校生部門でグランプリに輝いた。グランプリの賞金は10万台湾元(約34万日本円)。行政院は2013年、毎年10月11日の国際ガールズ・デーにちなんで、同日を台湾ガールズ・デーと定めた。
 
グランプリを獲得した「谷慕公主的破風魂(谷慕姫の破風魂、自転車ロードレースで先頭に立って風よけになる選手のことを中国語で破風手という)」を撮影したのは、葉羽霜さんのコーチの妻で、宜蘭県頭城国中(中学)で教鞭をとる李嘉慈さん。タイトルの谷慕とは、葉羽霜さんのタイヤル族姓名だ。作品には、5分足らずの短時間の中に、たくさんの練習風景、貴重な競技会での記録フィルムのほか、葉羽霜さんが家族と共にタイやル族の伝統衣装を身にまとって踊ったり歌ったりしている様子が収められている。躍動感と静寂さをあわせ持った作品に対して審査員は、先住民族の意志の強さがよく表され、固定されたジェンダーの枠組みを超えていると評価した。
 
作品の撮影者、李嘉慈さんは、「自転車競技の男子選手は、才能がないからではなく、練習をあきらめて、競技大会の参加資格を取得できないことがよくある。この映像作品を通して台湾の女性運動選手が優秀であることを伝え、そういった女性選手が注目されるようになってほしい」との期待を語った。李嘉慈さんはさらに、台湾において第一線で活躍する運動選手はほとんどが女性との現状を述べ、運動選手がどれほど練習して苦労しているかは誰も知らず、賞を獲得した時だけ注目を浴びるものだとの厳しさも語った。
 
葉羽霜さんは、宜蘭県大同郷楽水集落で生まれた。小学校6年生で、コーチが管理している女子寮に入った。中学3年の時、全国中等学校運動会の自転車競技において、ロードレース(一般公道)、クロスカントリー、ダウンヒルの3部門で一気に金メダルを獲得した。高校1年生で台湾代表選手となり、2017年にアジアマウンテンバイクシリーズ、ジュニア女子部門の年間最優秀選手にも選ばれた。
 
輝かしい経歴を持つ葉羽霜さんは8日、「勝ちたいだけ。自転車に乗っているときはただ一生懸命にやっているだけ」と、「谷慕公主的破風魂」のグランプリ受賞について控えめにコメントした。葉羽霜さんの父は作品の中で、「自転車競技の練習は非常に辛くて苦しいもの。娘はよく電話をかけてきて、家に帰りたいと言い、泣きながらもう練習をやめたいと訴える。その度に家族は励まし、娘が練習を続けられる意欲を持てるよう支えている」ことを明らかにした。一方、葉羽霜さんの母は作品の中で、「かつてのタイヤル族には男尊女卑の考えが根強かったが、現在では徐々に改善されている。娘は中学生のときに素晴らしいコーチと出会うことができ、そのおかげで才能を引き延ばすことができた」との喜びを語った。
 
教育部学生事務及び特殊教育司は、11日の台湾ガールズ・デーに、各学校の教師がガールズ・デーの意義やジェンダー平等の概念などを生徒たちに説明するよう推進している。写真と短編フィルムによるストーリーテリングコンテストは、小学生、中学生、高校生、大学・専門学校生の4部門が設けられている。今年は写真105点、短編フィルム25点の応募があり、最終的に25作品、42人の学生が賞を獲得した。

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