第15代中華民国正副総統選挙及び第10期立法委員(=国会議員)選挙が11日に行われる。今回の選挙で有権者が受け取る投票用紙は正副総統、区域立法委員(小選挙区)、そして政党票(立法委員比例代表)の3枚だ。与党・民進党と野党・国民党という2大政党以外の小さな政党が、国会でキャスティング・ボートを握る少数派になれるかどうかは、この比例代表選挙で得票率5%を超えられるかどうかにかかっている。当選した第10期立法委員は2月1日に、第15代正副総統は5月20日に就任することになる。以下に今回の選挙の注意点などをまとめた。
【投票の日時、場所は?】
投開票日は1月11日。投票時間は午前8時から午後4時までで、投票所の多くは本籍住所近くの学校、あるいは村・里の活動中心となる。午後4時ちょうどの時点で投票所に並んでいる有権者まで投票を行うことができる。
【投票できる人は?】
「公職人員選挙罷免法」の規定に基づき、「中華民国国民」であり「満20歳以上」、「被後見人ではない」の条件を満たした上で、立法委員選挙(小選挙区、比例代表)は当該選挙区に4か月以上居住していること、正副総統選挙は台湾に6か月以上居住していれば投票資格を持つ。台湾人との婚姻で台湾に住む外国出身の配偶者も、中華民国の国籍を取得し、上記の条件を満たせば同様の投票資格を有する。
【投票のときに持参するものは?】
最も重要なものは「投票三宝(=投票に必要な3つのアイテム)」と呼ばれる国民身分証(IDカード)、印鑑、投票通知書の3つだ。では、これらを忘れてしまった場合、どうなるのだろうか。
投票通知書を忘れても慌てる必要はない。投票所のスタッフにお願いすれば、「有権者名簿」から名前を探し出してくれるため、投票することは可能だ。印鑑を忘れた場合も、拇印(ぼいん)を押すか、サインで代替することができる。
では、国民身分証を忘れても、何とかなるだろうか。答えは「ノー」だ。国民身分証を忘れてしまったら、投票用紙を受け取ることができない。運転免許証、国民健康保険証(カード)などを提示しても、国民身分証の代替とすることはできない。
【投票所で禁止されている行為とは?】
・携帯電話・スマホを持って投票所に入ること
・写真撮影をすること
・特定候補者への投票を呼び掛けること
・特定候補者や政党、スローガンの書かれた衣類を着用、またはのぼりや看板を持ち込むこと
・投票用紙を他人に見せたり、破り捨てたり、あるいは投票所の外に持ち出すこと
・投票用紙以外のものを投票箱に入れること
「公職人員選挙罷免法」では、投開票当日に選挙活動や応援活動を行った場合、50万台湾元(約182万日本円)以上、最高500万台湾元(約1,820万日本円)の罰金が科せられる。投票用紙を他人に見せた場合は、2年以下の懲役、拘留又は20万台湾元(約73万日本円)以下の罰金、又はこれを併科する。投票用紙を故意に破ったり、投票用紙以外のものを投票箱に入れたりした場合は5,000台湾元以上5万台湾元以下(約1万8,270日本円以上18万2,700日本円以下)の罰金に処す。
【投票の流れ】
・「投票三宝(=国民身分証、印鑑、投票通知書)」をスタッフに渡し、「有権者名簿」に捺印して投票用紙3枚を受け取る。内訳は「正副総統」、「区域立法委員(小選挙区)」、「政党票(立法委員比例代表)」である。
・記載台で投票用紙に「圏選章(=投票印)」を押す。押せるのは中央選挙委員会が提供する「圏選章」だけであり、手書きのサインをしたり、自分の印鑑や拇印を押す、あるいは何らかの記号を記入したり、空白のままにした場合、いずれも「無効票」と見なされる。
・選んだ候補者・政党の所定欄に「圏選章」を押した投票用紙は、投票用紙の色を参考に、所定の投票箱に入れる。投票箱に入れられるのは投票用紙だけだ。ほかのものを入れたら罰せられる。「圏選章」を押した投票用紙を他人に見せてはならない。偶然を装って投票用紙を見せる行為も罰せられるので注意ありたい。
午後4時の投票終了後、各投票所では直ちに開票作業が行われることになっている。