2024/05/08

Taiwan Today

文化・社会

「女性の歴史に国境無し」写真展、「阿嬤家-平和と女性人権館」で開催中

2020/03/09
婦女救援基金会が台湾の写真家、簡扶育さんによる台湾の様々な女性と日本女性、韓国の女性の写真を集めた特別展を開催中。レンズを通して女性の歴史とその力をとらえているという。写真は会場の様子。(婦女救援基金会提供、中央社)
長期にわたって女性問題に関心を寄せてきた台湾の写真家、簡扶育さんは女性と先住民族を撮影した作品により台湾の芸術界で広く知られている。簡扶育さんは台湾でまだ戒厳令が解除されていなかった1980年代、台湾における女性運動の先駆となった雑誌「婦女新知」でカメラマンを担当したことで、女性の姿を記録するようになった。
 
財団法人台北市婦女救援社会福利事業基金会(通称:婦女救援基金会)が設立した「阿嬤家-平和と女性人権館(AMA Museum)」(台湾北部・台北市)は今月から今年最初の特別展「女史無国界(Unbounded Herstory)-簡扶育撮影特展」(女性の歴史に国境無し-簡扶育写真展)を開催している。展示されるのは簡扶育さんが1998年に、それまでに撮影した13人の女性の写真をまとめたもの。13人の内訳は、台湾の様々なエスニックグループ(河洛、客家、原住民)7人、日本人3人、韓国人3人。「河洛」は中国大陸・福建省をルーツとして河洛語(閩南語、台湾語とも)を話す人たち。「客家」は台湾で2番目に大きいエスニックグループ、「客家人」のこと。そして「原住民」は先住民族のことを指す。
 
作品は人物をとらえたポートレートに簡単なキャプションが添えられ、参観者は簡扶育さんのレンズを通して1人の人物の姿のみならずそれぞれの背後にある歴史の流れ、社会のムード、文化的背景を感じることになる。モデルには台湾の「国宝級」画家・陳進さん、客家人の女性詩人・杜潘芳格さん、昆虫学者で生態画家の姚安莉さんなども含まれる。陳進さんは日本占領時代に日本の代表的な美術展の「帝展」(現在の日展)で賞を受けた画家。写真は陳さんの家で行われた。彼女の後ろにあるガラスケースに高く掲げられている作品こそ陳さんが賞を受けた『合奏』。陳さんの姿と陳さんの絵画からは、日本占領時代という時代に1人の台湾女性が日本に渡り、夢を追い求めたという人並み外れた勇気が感じられる
 
婦女救援基金会の葉徳蘭董事長(=理事長)は、レンズを通すことで簡扶育さんはこれまで知られてこなかった、女性の表情に隠された歴史の痕跡に彼女たちの理想に対するこだわりと努力を表現させたと説明、これは「阿嬤家」が伝えようとしているジェンダー平等の理念に非常に合致していると期待した。同写真展は「阿嬤家」2階の「女力空間」で6月7日まで開催されている。葉董事長は、1人でも多くの人が参観し、女性の歴史を知り、そのパワーを感じてもらいたいと話している。
 
 

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