2024/05/02

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政治

労働部、外貌醜状に伴う給付金の男女格差是正へ

2020/06/24
労働部は23日、ジェンダー平等や医学の学者・専門家を招いた会議を開き、頭部・顔面・頸部の「醜形」(外貌醜状)に伴う給付金の男女格差を是正する方針を固めた。これまでは女性のほうが給付金を多く受け取れるようになっており、インターネット上では「男性が顔に負うけがは値打ちがないのか」と批判する声が上がっていた。(中央社)

台湾の「労工保険」(労災・雇用保険に相当)には、被保険者がけがや病気で働けなくなった場合に支給する「労保失能給付」(給付金)の制度が設けられている。規定によると、頭部・顔面・頸部の「醜形」(外貌醜状)が生じた場合の給付金の給付日数は、男性が220日間であるのに対し、女性は360日間と長くなっている。給付金の給付日数が140日間違うことで、被保険者が受け取る給付金には男女で最多21万台湾元(約75万日本円)の開きが出る。なお、頭部・顔面・頸部の「醜形」(外貌醜状)とは、まぶた・鼻・耳の欠損のほか、頭部・顔面・頸部といった日常的に露出している部分で外観に醜状が生まれた場合を指す。

 

このほど、外貌醜状の規定で男女間に違いがあることを疑問視する投書が行政院(内閣)に届いた。これに対して労働部(日本の厚労省に類似)が「社会生活上、醜状によって受ける妨害は男女で異なる」と公文書で回答したことがきっかけとなって議論が巻き起こり、インターネット上では「男性が顔に負うけがは値打ちがないのか」と批判する声も上がっていた。こうした議論を受けて労働部は、「同規定は1979年に作られたもので当時の時代背景が反映されている」と指摘すると共に、近くジェンダー平等や医学の専門家を招いて給付基準の男女差について議論することを約束していた。

 

労働部は23日にこの会議を開いた。その結果、社会環境がすでに変化しており、ジェンダー平等や被保険者の給付保障などの側面から見ても、専門家や学者たちは外貌醜状に伴う給付金の支給日数に男女差を設けるべきではないと考えていることが分かった。このため労働部は、この方向で規定の修正を行い、男女格差を是正する方針を固めた。

 

このほか、会議に参加した学者や専門家からは「醜形」という名詞についても、主観的な蔑視を含む言葉だと指摘があがった。このため労働部は、給付規定を定めた付表の用語を見直し、適切な呼び名に修正する方針だ。

 

労働部によると、7月には草案を確定したあと、2か月にわたるパブリックコメント(意見募集手続)を経て、早ければ年内に規定の修正を完了する予定。

 

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