2024/10/16

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国立成功大学、1分間で新型コロナウイルス検出する技術を開発

2020/06/30
国立成功大学(台湾南部・台南市)材料系(=材料学科)の廖峻徳教授が率いる研究チームは、新型コロナウイルスを1分間で検出する技術を開発した。今後半年以内に新型コロナウイルスのスペクトルデータベースの構築を目指す。(国立成功大学サイトより)

国立成功大学(台湾南部・台南市)材料系(=材料学科)の廖峻徳教授が率いる研究チームはこのほど、ナノトラップの概念を利用してウイルスを捕捉する方法に、新たに開発しスクリーニング用試験片を掛け合わせ、新型コロナウイルスを1分間で検出することに成功した。

 

国立成功大学が発表したニュースリリースによると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、科技部(日本の文部科学省に類似)工程司は今年4月、感染症対策につながる技術開発に助成する「防疫科技発展計画」を発表。台湾各地の高等教育機関や研究機関などから感染症に関わる検疫、予防、治療、施設などの分野で、技術開発の計画書約500件が寄せられた。科技部工程司はそのうち7件を選抜。廖峻徳教授の研究チームによる計画書もこの中に含まれていた。

 

廖峻徳教授が担当する生物医学応用実験室は2009年から2012年にかけて、「ナノレベルの技術でナノレベルのウイルスを捕捉する」という構想の下、ナノトラップでウイルスを捕捉する方法の研究に取り組んだ。その結果、ナノレベルの漏斗型の穴を持つスクリーニング用試験片を開発。いったん入ると出られないという構造で、たとえウイルス粒子1つしか存在しなくても捕捉することに成功した。

 

国立成功大学によると、捕捉したウイルスは、ウイルスの外膜の化学構造を調べるだけで、どの種類のウイルスか判定することができる。また、生きたウイルスか、死んだウイルスか、あるいは変異したウイルスかも識別することができる。開発したスクリーニング用試験片はすでに7種類のウイルスを使った研究で検証済みで、2012年には特許も取得している。

 

廖峻徳教授は2019年、再び学生らと一緒に新たなスクリーニング用試験片を開発した。これは、レーザー光線を試験片に照射し、試験片上のホットスポットにターゲットとなるウイルスが存在すれば、分光器の信号が増強し、大きくなるというもの。ナノレベルの漏斗型の穴を持つスクリーニング用試験片と、今回開発したホットスポットを使ったスクリーニング用試験片を使って同時に検査を行なえば、1分以内に新型コロナウイルスの有無を判断することが可能となった。

 

廖峻徳教授によると、現在新型コロナウイルスの有無を確認する方法として最も多く行なわれているのが核酸増幅検査(PCR )だ。これはDNAの塩基配列とDNA分子の特定技術を利用してウイルスのリボ核酸を読み取るというものだが、結果が出るまでに早くとも4時間かかる。しかも、PCR装置は高価な上、移動させるのも容易ではない。

 

廖峻徳教授が率いる研究チームは、半年以内に新型コロナウイルスのスペクトルデータベースを構築したいと考えている。ナノトラップを使ったスクリーニング用試験片とホットスポットを使ったスクリーニング用試験片を組み合わせてウイルスを補足した後、ウイルスの外膜の化学構造を調べてスペクトルデータベースで照会すれば、1分以内に新型コロナウイルスの有無を判断することが可能となる。

 

廖峻徳教授の最終目標は、検体検査を行う専門の検疫車を作ることだ。必要があれば目的地まで赴いて検体検査を行なったり、あるいは緊急の簡易検査設備を提供したりするもので、将来的には空港、港湾などに検疫設備を設置したり、必要な場所まで検疫車が出向いていってサポートするなどして、検疫の効率をより向上させたいと考えている。

 

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