2024/11/23

Taiwan Today

政治

向こう4年の平均経済成長率3%以上目指す、公共投資と企業のUターンに期待

2020/07/16
国家発展委員会の「国家発展計画」で、台湾は向こう4年間平均3%以上の経済成長率を目指すことになった。公共投資、ならびに海外からの企業のUターンによる効果が期待されている。写真は台北市内の写真。(外交部)
国家発展委員会(日本の省レベル)の委員会議が13日に開かれ、「国家発展計画(2021年から2024年)」を承認した。行政院(内閣)による決定後、各省庁が役割分担した上で計画を確実に執行していくことになる。
 
国家発展委員会はこの計画の中で向こう4年間の国家発展戦略を提示、今後の各省庁の取り組みに関する青写真にすると共に全体的な経済成長に目標を定めた。経済成長率は2021年から2024年までの年平均で2.6%から3.4%を目標値とする。失業率は3.5%から3.8%、消費者物価指数(コアCPI)の上昇率は1.0%から1.5%が目標。
 
国家発展委員会の龔明鑫主任委員(大臣)は、台湾経済はすでに受託生産モデルを極め、削れるコストは全て削った状態であることから経済成長の原動力としてはやや不足しているとし、新たな原動力を見つける必要性を指摘。その上で、政府は過去4年間、「5+2産業イノベーション計画」を通じて産業の基礎を整えており、今後は投資の拡大とデジタル変革によって積極的に新たな原動力を育成していくべきだと訴えた。
 
向こう4年間、年平均で3.4%の経済成長を目指すことについて龔明鑫主任委員は、政府が「将来を見据えたインフラ建設計画」、ならびに洋上風力発電や5G(第5世代移動通信システム)の整備などに今後も取り組んでいくほか、政府による公共投資が進めば民間の投資も増えるとしてその相乗効果に期待。また、海外で展開していた企業の台湾へのUターンも大きな助けになるとしている。中国大陸から台湾にUターンする企業の投資に対する支援や、それ以外の企業への投資支援策である「投資台湾三大方案」によって行われた投資額はすでに1兆台湾元(約3兆5,800億日本円)を突破。さらに企業が海外にプールしていた資金が台湾に戻ることなどから、台湾経済の成長力はいっそう強力になるという。
 
一方、国家発展委員会は、①米国と中国大陸との貿易面と科学技術面での対立激化、②新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン及び治療薬の開発の遅れとそれによる感染拡大の長期化、③地政学的なリスクの拡大、④原油価格や原材料価格のトレンド、並びに為替や株式・債券などの国際的な市場動向などを下振れリスクと考えている。
 
龔明鑫主任委員は、新型コロナウイルスは遅かれ早かれコントロールされるようになるか「インフルエンザ化」され、経済は回復していくとの見方を示し、世界の株価が下がっていないのもこのためだと述べている。
 
「国家発展計画」では様々な面から全世界の趨勢を占っている。国家発展委員会は向こう4年間に直面せざるをえない問題として、①米国と中国大陸の貿易面と科学技術面での争い、及びポストコロナ時代が生み出す世界の新たな経済秩序、②5GやAI(人工知能)などのデジタル技術とデジタル経済発展の重要度上昇、③世界の少子高齢化による経済と社会の転換、④いっそう切迫するエネルギー低炭素化への取り組み、ならびに気候変動への対応を挙げている。
 
 

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