オーストラリアのシンクタンク、ローウィー国際政策研究所(Lowy Institute for International Policy)はこのほど、世界98カ国・地域の新型コロナウイルス感染者、死者、検査数など入手可能なデータを指数化し、新型コロナウイルスへの各国の対応を評価した。その結果、調査した98カ国・地域のうち、最も評価が高かったのはニュージーランドで、2位ベトナム、3位台湾と続いた。
ローウィー国際政策研究所の評価は、新型コロナウイルスの感染者数、人口100万人当たりの感染者数、新型コロナウイルスによる死者数、人口100万人当たりの死者数、陽性率、人口1,000人当たりの検査数などを指数化したもの。トップ10か国・地域は上からニュージーランド、ベトナム、台湾、タイ、キプロス、ルワンダ、アイスランド、オーストラリア、ラトビア、スリランカの順だった。
感染者2,500万人を超えた米国は94位、感染者1,000万人を超えたインドは86位だった。また、欧州諸国で新型コロナウイルス感染による死者数が最も多い英国は66位だった。なお、ローウィー国際政策研究所は、中国については公式発表されている感染者数は多くないが、公開されている数値に不足があるとして今回の評価から除外した。
ローウィー国際政策研究所によると、経済水準や国家間の政治制度の違いなどは、一般に考えられるほど感染症対策の結果に影響を与えていない。実際には、人口が比較的少なく、結束力の強い社会や力強いメカニズムを有する国が、感染症のパンデミックというグローバルな危機への対応において相対的に優位性を持つことが分かった。
ローウィー国際政策研究所の研究員であるHerve Lemahieuさんは、新型コロナウイルスへの対応という点では、急を要する医療事件を処理する場合、人口1,000万人以下の国のほうが、大部分の大きな国よりスピーディに動くことができると指摘している。
Herve Lemahieuさんは、これら指数は「独裁政権が民主政権よりも効果的に危機に対応できる」という論点を覆すものだったと指摘する。また、「独裁政権はマンパワーの動員や国境封鎖などをスピーディに行い、資源を有効に調達・分配することができるが、長期的に封鎖態勢を続けるのは難しい。一方、民主国家は感染拡大初期においてスピーディな対応はできないが、第一波のあとは徐々に改善している。米国と英国で感染拡大が悪化したのは、これらの国が厳格な防疫措置を講じなかったからだ」と述べている。
上位10か国を見ると、民主国家もあれば、専制国家もあり、民主と専制のハイブリッドという国もある。しかし、すべての国が、国内に力強いメカニズムを有する。Herve Lemahieuさんは、「危機に有効に対応しているかどうかの分岐点は決して政治体制によって決まるのではなく、国民が彼らの指導者を信頼しているかどうか、これらの指導者が効果的に国をひっぱる能力を持っているかどうかにかかっている」と指摘している。