太平洋に位置する中華民国(台湾)の国交樹立国、パラオ共和国のウィップス大統領が今月28日に台湾を訪問し、台湾とパラオの「トラベルバブル」の始動を宣言した。「トラベルバブル」とは新型コロナウイルス対策を講じた上で隔離無しの相互渡航を再開させる枠組みのことで、「トラベルコリドー」とも呼ばれる。外交部はこれを受けて30日、ニュースリリースを発表してその意義を説明した。概要は以下のとおり。
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台湾とパラオの「トラベルバブル」は、両国の新型コロナウイルス封じ込め成功によって実現したものだ。新型コロナウイルスの感染が世界各地に拡大する中、パラオは米国および台湾の公衆衛生システムからの専門的アドバイスを受けた。台湾と米国という2つのパートナーの協力の下、パラオでは現在に至るまで一人の新型コロナウイルス感染者も出していない。
台湾と米国は今回のコロナ禍で、パラオに対して個人用の感染症対策設備、検査試薬、検査設備のほか、専門家によるテクニカルサポートなどを提供した。また、2021年1月からは米国がパラオに対して新型コロナウイルスワクチンを提供している。しかし、台湾、米国、パラオのパートナーシップは公衆衛生あるいは感染症対策の分野にとどまらない。
台湾、米国、パラオは民主主義且つ自由で開かれたインド太平洋地域の実現を約束し、この地域の平和と繁栄の促進に寄与してきた。過去75年間、米国とパラオは自由連合盟約(COFA)を結び、緊密なパートナーシップを維持してきた。一方、台湾とパラオは1999年に正式な外交関係を樹立。その後は平和とルールに基づいた国際秩序を維持するために協力している。パラオはこれまで、WHO(世界保健機関)のような多国間組織に台湾を参与させるべきだと繰り返し主張してきた。一方で台湾は、パラオの農業、漁業、医療、公衆衛生等の発展に協力し、人的資源、ガバナンス、インフラの強化に取り組んでいる。
ウィップス大統領の今回の訪台にはジョン・ヘネシー・ニランド駐パラオ米国大使が同行し、台湾、米国、パラオが今後も積極的に民主主義と優れたガバナンスを強化し、気候変動への対応、デジタルヘルスの増進、女性のエンパワーメントの促進、農業貿易の拡大、沿岸警備の協力強化、パラオのインターネットセキュリティの強化といった分野で協力していく考えを改めて示した。台湾、米国、パラオの三者は、共通の価値観と利益を享受するという基礎の上で、パートナーシップを引き続き拡大させ、自由で開かれたインド太平洋地域の実現を目指したいと考えている。