新型コロナウイルスの国内感染が拡大する中、台湾最大の中国医学の研究所である衛生福利部国家中医薬研究所と臨床医が協力して開発した漢方薬(処方)「清冠一号(NRICM 101)」に、衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)の緊急使用権が付与されることが明らかになった。すでに漢方製薬会社2社が臨時薬品許可証の申請を行っている。
「清冠一号」は板藍根、ギョセイソウ(ドクダミ)、黄芩(オウゴン)など10種類の生薬を配合したもの。昨年、三軍総医院、長庚紀念医院、台中栄民総医院、彰化基督教医院などで新型コロナウイルス感染患者に処方し、効果が確認された。
中医師公会全国聯合会(=漢方医による全国的な同業者組合)の柯富揚理事長によると、「清冠一号」はすでに輸出許可証を取得し、欧米への輸出実績を持つ。しかし、台湾では新薬に対する審査が厳しく、時間もかかることから販売ができずにいた。
柯富揚理事長によると、「清冠一号」は10種類の生薬を配合し、これを科学的な手法で濃縮させた漢方薬だが、西洋薬の新薬に対する審査方法を適用した場合、承認までに数々の治験に合格する必要がある。しかし、最近台湾で新型コロナウイルスの国内感染が拡大していることを鑑み、17日に衛生福利部と再び会議を開いて協議したところ、緊急使用許可の付与という方法で国内販売が認められることになった。これにより、「清冠一号」の輸出許可を持つ製薬会社は、台湾での臨時薬品許可証を申請することが可能となった。
衛生福利部の石崇良常務次長(事務次官)は、「清冠一号」について「薬事法」が定める「専案核准製造規定(=特例措置)」を適用することを認めた上で、臨時薬品許可証の取得には製薬会社による書類申請が必要だと説明。現在のところ「適正製造規範(GMP)」に合致した漢方製薬会社2社が申請済みで、早ければ今週中にも許可証が発行されるとの見通しを示した。