台湾が取り組む人身売買(取引)防止の成果が12年連続で世界から評価された。米国務省はこのほど世界の人身売買に関する2021年版の報告書を発表、中華民国(台湾)は180カ国あまりの中で、4段階評価の最高ランク(Tier1=最優秀)と評定された。
内政部(日本の省レベル)は、「人権の保障は我が国が極めて重視する核心的価値で、人身売買防止は我が国の人権立国に向けた理念と決意を具体的に示す成果の一つだ」とし、今後もその取り組みをさらに優れたものにしながら進めていく考えを明らかにした。具体的な事例としては、行政院(内閣)が昨年10月に行政院農業委員会(日本の農水省に相当)及び関係省庁と協議して「漁業と人権行動計画」を決定したこと、ならびに遠洋漁業に従事する外国籍漁船員の強制労働問題を優先的な改善事項と定め、外国籍漁船員の権益保護に積極的に乗り出したことを挙げている。
また、ここ2年、新型コロナウイルスの影響で国際間における人の移動モデルとルールが大きく変化していることを考慮し、内政部は昨年12月末に各省庁と共に「2021~2022年搾取防止行動計画」を決定、人身売買防止に向けた25項目の計画と76項目の具体的な取り組みを打ち出した。「漁業と人権行動計画」と「搾取防止行動計画」はいずれも被害者の権益をより優れた形で守り、人身売買をいっそう厳しく取り締まることが目標。
内政部によると、今年の報告書で米国は台湾に対し、遠洋漁業での便宜置籍船もしくは中華民国籍の漁船が労働者を搾取している疑いがある件について積極的に調査すべきだと指摘。また、人身売買の前科がある、もしくは過去に海外で人身売買にかかわったことのある船舶あるいは業者に対する入港制限など具体的な改善策を提言した。内政部はこれらの提言内容の多くはすでに「漁業と人権行動計画」と「搾取防止行動計画」に盛り込まれており、各省庁が確実な執行に努めているところだと説明した。