蔡英文総統が7月30日午後、国史館(台湾北部・台北市)で「関鍵1991:李登輝与台湾民主元年展覧開幕典礼」(「カギの1991年:李登輝と台湾民主元年展」開幕セレモニー)に出席し、同特別展の開幕にあたって李登輝元総統を偲び、台湾における民主化の道のりを振り返ろうと呼びかけた。蔡総統は、数十年にわたる民主化を経て、こんにちの台湾はもはやよちよち歩きの民主主義ではなく、他と支え合え、共に前進できる成熟した民主主義を持つまでになっており、今後いかにして台湾の民主主義をさらに深め、世界へと歩みだすかが自分たちの世代に与えられた挑戦であり使命であると強調した。
蔡総統はあいさつの中で、李登輝元総統が死去してちょうど1年経った30日、この特別展の開幕にあたり皆で李元総統を偲び、台湾における民主化の道のりを振り返ろうと語った。
蔡総統はこの特別展が「カギの1991年」と名付けられていることについて、その年に李元総統が「動員戡乱時期」の終結を宣言し、「動員戡乱時期臨時条款」を廃止したことを指摘。1991年の様々な改革があったからこそ国民代表が同年初めて全面的に改選され、翌年には立法院(国会)でも全面的な改選が初めて行われたと説明、これによって台湾における一連の民主改革が可能となり、1996年の総統直接選挙につながったとの見方を示した。
「動員戡乱時期臨時条款」は中華民国憲法に追加されていた条項で、国が戦時下や非常事態下にある場合、総統や国会議員の任期をはじめとする憲法の規定を超越する措置を認めていた。国民代表はかつて正副総統を選ぶ権利や憲法改正の権利を持っていた国民大会の議員のこと。「動員戡乱時期臨時条款」に基づき、国民政府が台湾に移ってからは顔ぶれが凍結され、改選が行われていなかった。
蔡総統は、今回の特別展では誰もが1991年に立ち戻って当時国内外に存在した様々な挑戦、ならびに国の発展方向を巡って行われた官民の議論を目にすることになり、李元総統がどのように台湾の民主化を推し進めたのかを深く理解することが出来るだろうと述べた。
蔡総統は、台湾は民主化の経験を国際社会と共有すると共に民主の価値を守る最前線に毅然と立っているとした上で、今後台湾における民主主義をいかにしてさらに深め、世界へと歩みだすかが自分たちの世代に与えられた挑戦であり使命であると強調した。
そして蔡総統は、「民主の価値」によって台湾と世界との連携及び交流が深まったことに言及。昨年は台湾が新型コロナウイルスの感染予防物資を他の民主主義国に寄付して感染拡大に共に対抗し、今年台湾が新型コロナワクチンを獲得する上でそれらの国からサポートを得られたことは「善」のサイクルであり、同時に民主主義のパートナーによる助け合いであると評価した。