頼清徳副総統は10日、公視(公共テレビ)の大河ドラマ『斯卡羅(seqalu)』の完成披露試写会に出席した。頼副総統は、「『斯卡羅』は台湾のテレビ史上まれに見る大作だ。台湾には独自の大河ドラマが必要だ。それによって多くの国民が台湾の歴史をより理解し、互いを尊重することができる」と述べ、テレビでオリンピックを視聴した人々が、今度は『斯卡羅』に没頭することを期待した。
『斯卡羅』は、現役の医師として活躍する小説家、陳耀昌さんの小説『傀儡花(邦訳:フォルモサに咲く花)』を原作としたテレビドラマ。当初はドラマのタイトルも『傀儡花(Lady the Butterfly)』としていたが、「傀儡」という言葉に抵抗を感じるという先住民族の人々の声に配慮し、『斯卡羅』に変更した。これはパイワン族の言葉で、先住民族の有力集団「スカロ」を指す。
物語の舞台となるのは1867年の台湾。米国商船「ローバー号(Rover)」が、台湾最南端の恒春半島の沖合で難破する。海岸に流れ着いた乗組員たちは、台湾先住民が暮らす領地に誤って入り込む。そして、侵入者だと誤解した先住民族たちの首狩りに遭い、米国籍船長を含む13人が殺害される。俗に言う「ローバー号事件」である。当時、アモイの米国領事であったチャールズ・ルジャンドル(Charles Le Gendre、中国語名は李仙得)は調査のため台湾へ向かう。ルジャンドルはその後、南台湾に軍隊を派遣し、地元の先住民族集落の大酋長と平和条約「南岬之盟」を結ぶ。「南岬之盟」は台湾先住民族と外国が結んだ初めての国際条約とされる。このドラマでは、こうした歴史事件を背景に、台湾における多様なエスニック・グループの融合のプロセスを描く。
頼副総統は完成披露試写会で、「台湾は今回の東京オリンピックで素晴らしい成績を残した。台湾の多様な物語は、映像産業の世界でも大きく取り上げるべきだ。国際社会に台湾をアピールし、国民が台湾を誇りに思えるようになって欲しい」と述べた。
『斯卡羅』は全12話。公視で8月14日より放送を開始する。毎週土曜午後9時から毎回2話連続で放送する。公視+、LINE TV、Netflix、myVideo、中華電信MOD、Hami Videoなどの動画配信サイトでも順次配信される。このほか、文化部(日本の文科省に類似)が運用を開始する海外向け英語コンテンツ配信事業「Taiwan+」でも、8月30日に1~6話を一挙公開する。