2024/09/29

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文化・社会

「台斗坑遺跡」から2,500年前の人骨、うつ伏せの埋葬法は同地区の文化か

2021/09/10
台湾中南部・嘉義市の鉄道高架化工事前に行った環境アセスメントで、施工区間が「台斗坑遺跡」を通ることが分かり、レール脇の「墓地」から2,500年以上前の埋葬人骨が2体(写真)発見された。うつ伏せで手を後ろに回している珍しい形。(聯合報)
台湾中南部・嘉義市で予定されている鉄道高架化工事で、その一部が通る「台斗坑遺跡」から今年、2,500年以上前のものとされる埋葬人骨が2体見つかった。現在は国立台湾史前文化博物館南科考古館(台湾南部・台南市)に一時保管されている。うつ伏せで体を伸ばし、腕を背中側に回しているこの埋葬法は台湾南部・台南市の烏山頭遺跡でも見られるという。
 
嘉義市文化局によると、交通部鉄道局が同市の鉄道高架化工事のため実施した事前の環境アセスメントで、施工区間が「台斗坑遺跡」を通ることが分かった。そのため専門の考古学チームが発掘調査を行ったところ、今年2月に陶器の破片を発見、5月と6月にはそれぞれレールのそばで有史以前の墓を見つけ、埋葬人骨2体を発掘した。
 
「台斗坑遺跡」は在来線・台湾鉄道嘉北駅から南で世賢路からは北、そして鉄道からは西の区域にある。今から約2,500年から2,700年前、新石器時代末期のものと考えられるこの遺跡は墓地エリアと住宅エリアに分かれており、有史以前の完成された集落である可能性があるという。考古学調査のリーダーを務める国立台湾大学(台湾北部・台北市)人類学研究所の顔廷伃博士は9日、埋葬人骨2体の年代は今から2,500年以上前で新石器時代末期のものだとする初歩的な判断を明らかにし、これは嘉義地区の「灰黒陶文化」だとする見方を示した。
 
顔博士は2体の人骨は男女のカップルだと考えている。うつ伏せで腕を背中側に回しているほか、顔はどちらも相手に向けている。年齢は「中壮年」(30歳から59歳程度)。うつ伏せで体を伸ばした形で埋葬する文化は台南市烏山頭遺跡の「大湖文化」にもあるという。
 
2体の埋められていた深さがほぼ同じで頭の高さも近いこと、そして横たわる方向も同じ(東西に横たわった形)だったことから、埋葬された時期はほぼ同じだったと考えられる。しかし2体の関係について顔博士は、「『関係があった』としか言えず、それ以上の親族関係は確認出来ない」と話している。
 
顔博士によれば、新石器時代末期には仰向けで体を伸ばした埋葬法が多く、うつ伏せのケースは少ない。しかしそれは身分や地位による違いではなく、当時の地区的文化の特徴の一つだという。またうつ伏せにして埋葬した理由はまだわかっていない。
 
 

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