金融商品または企業・政府などについて、その信用状態に関する独自の格付け情報を提供するフィッチ・レーティングス (Fitch Ratings Ltd.) は、台湾の長期発行体デフォルト格付(IDR)を「AA-」から「AA」に引き上げた。見通しは「安定的」。フィッチ・レーティングスが台湾の長期発行体デフォルト格付(IDR)を引き上げるのは2016年以来に「A+」から「AA-」に引き上げて以来、5年ぶりのこと。
フィッチ・レーティングスは台湾の長期発行体デフォルト格付(IDR)を引き上げた理由について、台湾の財政が安定していることのほか、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を経ても、その経済成長が他国を上回ったことを挙げている。台湾の長期発行体デフォルト格付(IDR)が「AA」となるのは2012年以来、9年ぶりのこと。
フィッチ・レーティングスはまた、台湾が新型コロナウイルスの感染をよく制御していること、製造業がコロナ禍で特に大きな影響を受けておらず、輸出が依然順調であること、今年の経済成長率が6.0%に達する見通しであることなどにも言及している。
しかし同時に、他の先進諸国に比べて台湾のワクチン接種が遅れていることも指摘。9月8日時点で、少なくとも1回ワクチンを接種した人は全人口の約45%だが、ワクチン調達の制限を受け、2回接種か完了した人はわずか4%にとどまるとしている。
なお、フィッチ・レーティングスはこれまで台湾について「Taiwan」と表記していたが、今回の格付けでは「Taiwan, China」と表記していた。これに対して中華民国(台湾)外交部(日本の外務省に相当)は10日に発表したニュースリリースで、同社が今年台湾に関して不当な表記を行ったことを「遺憾」としながら、すでに在外公館を通じて、速やかに訂正するよう同社に求めていることを明らかにした。