中華民国外交部(日本の外務省に相当)が27日、プレスリリースを発表し、イギリスのジョンソン首相が「中国の軍機による台湾の防空識別圏(ADIZ)侵入は台湾海峡の平和に寄与せず」と強調したのに対し、歓迎と感謝の意を表した。
以下、プレスリリースの要約。
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イギリスのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は1月26日、イギリス議会下院(庶民院)での答弁でイギリス政府の一貫した立場を改めて示し、中国軍機による台湾の防衛識別圏(ADIZ)侵入などは台湾海峡の平和と安定に寄与しないと指摘すると共に、台湾海峡両岸による平和的かつ建設的な対話の必要性を強調した。中華民国外交部は、イギリスの首相、議会、政府の台湾海峡の平和に対する支持と重視を大いに歓迎すると共に感謝する。
中国の軍機が1日に我が国のADIZに侵入する回数は最近、過去最多を記録した。イギリス下院のRob Butler議員(保守党)は26日、ジョンソン首相への質問の中でこれを憂慮した。これを受けてジョンソン首相は、中国の軍機による台湾のADIZ侵入は台湾海峡の平和と安定に寄与せず、両岸は平和的かつ建設的な対話を行うべきだと明確に指摘した。
イギリスは同国がG7(先進7カ国)の議長国を務めていた昨年、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を三度にわたって強調しており、今回中国軍機による台湾のADIZ侵入への懸念を表明したのはそれに続くものである。ジョンソン首相のほかにも、イギリスのリズ・トラス(Liz Truss)外務大臣、ベン・ウォレス(Ben Wallace)国防大臣、イギリス秘密情報部のリチャード・ムーア(Richard Moore)長官らが報道陣によるインタビューや講演など様々な公の場で台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調してきた。
このほか昨年は、日米首脳会談、米韓首脳会談、日EU(欧州連合)首脳協議、日豪2プラス2(外務・防衛閣僚協議)、仏豪2プラス2(同)などが台湾海峡の安全保障を重視する立場を表明しており、このことは台湾海峡の平和と安定の維持がすでに米国、日本、イギリス、フランス、EUなど世界の主要な民主主義陣営の指導者たちにとって主流のコンセンサスになっていることを際立たせている。台湾は中国が軍機を台湾のADIZに派遣するからといって自由で民主的なライフスタイルを放棄することはない。中国の権威主義が台湾への脅迫を続けることは、各国に中国共産党の好戦的な本質をいっそうわからせるだけである。
台湾とイギリスの関係は密接で友好的だ。イギリスは台湾の国際機関への有意義な参加を支持し、台湾海峡の安全保障に関心を寄せているほか、平和的な手段で両岸のわだかまりを解決するよう呼びかけている。台湾はインド太平洋地域における責任ある一員として、引き続き透明かつ高い基準、そして共通の価値という民主の原則を堅持しつつ、イギリスをはじめとするG7メンバーやEUなど理念の近い国々及びパートナーたちと手を取り合って世界の民主主義同盟の強靭性を強化し、民主の発展を支えていく。そして、インド太平洋地域の平和と安定、繁栄と持続可能な発展を共に守っていく。