中華民国外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(外相)は17日、豪ニュースチャンネル「スカイニュース・オーストラリア」で政治評論番組「クレドリン(Credlin)」の司会進行役を務めるペタ・クレドリン(Peta Credlin)女史とのビデオインタビューに応じた。呉部長は、インド太平洋地域における台湾海峡の安全の重要性、中国大陸からの軍事的脅威に備えて、自己防衛能力を強化していること、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)」加入の申請などについて、詳細に説明した。インタビューの模様は同日放送された。
呉部長のビデオインタビューの要旨は次の通り。
まず最初に、インド太平洋地域における台湾の安定した発展の重要性について詳しく述べる。台湾とオーストラリアは同様の理念を持ち、民主主義、自由、基本的人権の尊重など普遍的な価値を共有している。中国大陸は、国際秩序を動揺させ、全体主義の思想を台湾のみならず、ほかのアジア太平洋諸国にも無理やり押しつけている。もし台湾が崩壊するようなことになれば、全世界に大きな影響が及ぶ。そうならないためにも、台湾は主権、民主主義、自由のある社会生活を守るための努力を惜しまない。
地政学的に見ると、中国大陸やロシアという全体主義を掲げる国家は、共同でその影響力を拡大させようと、世界各地で行動を展開している。ロシアのウクライナ侵略はその一例だ。インド太平洋地域で、このような事件が発生しないようにするためには、民主主義国家が全体主義の拡大に立ち向かい、阻止しなければならない。経済面から見ると、台湾は世界の半導体産業のサプライチェーンにおいて、重要な役割を果たしていることから、台湾へのいかなる攻撃も世界経済に悪影響を及ぼす。したがって、民主主義の方法で、両岸関係や国家間のあらゆる問題を解決する必要がある。
中国大陸は、武力による「台湾統一」をいまだにあきらめず、台湾は随時、戦闘準備を整える必要がある。台湾は積極的に国防力を強化し、米国など理念を同じくする国家と戦略的な安全保障対話を行っている。台湾の領土主権を守ることは私たち政府の責任だ。台湾が保護する民主主義を擁する社会生活は、全世界にとって指標的な意義がある。私たちは、祖国を守るという確固たる意志と決意がある。
また、台湾のCPTPP加入への支持を表明しているオーストラリアに謝意を表する。オーストラリア議会上院・下院の「外務・国防・貿易連合委員会」は2月、「CPTPPメンバーの拡大」に関する調査レポートを発表、全議会一致で、オーストラリア政府が台湾のCPTPP加入、台湾と自由貿易協定(FTA)締結を支持するよう呼びかけた。台湾のCPTPP加入は、単なる経済貿易レベルの問題ではなく、理念を同じくする国家が協力して全体主義国家に対抗する手だてにもなる。台湾は、引き続きオーストラリアや日本など理念を同じくする国家からの支持が得られるよう望んでいる。
「スカイニュース・オーストラリア」は、オーストラリア全土のほか、ニュージーランドでも放送されている影響力あるニュース専門放送局。