文化部(日本の省レベル)に属する国立台湾美術館(台湾中部・台中市)がリトアニアの国立美術館と共同開催する「揭幕:尋探立陶宛撮影中的認同(Uncoverings: The Search of Identity in Lithuanian Photography)」(除幕:リトアニアの写真にアイデンティティを探る)写真展と、国立台湾美術館主催の「覆写真実:台湾当代撮影中的檔案与認同(Covered Reality:Archival Orientation and identity in Taiwanese Contemporary Photography)」(覆われた真実:台湾の現代写真アーカイブとアイデンティティ)写真展の合同開幕セレモニーが10日に行われた。コロナ禍の中で、リトアニアと台湾との芸術交流ならびに対話が始まったことになる。
開幕セレモニーには、文化部の李永得部長(大臣)、黄国書立法委員(国会議員)、国立台湾美術館の梁永斐館長、外交部(日本の外務省に相当)欧州司(局)の陳立国司長(局長)、総統府の劉昭恵資政(最高顧問)、リトアニア文化省のTomas Ivanauskas文化参事、ナウル共和国の大統領夫人Ingrid Jacinta Aingimea 女史、同国のJarden Kephas大使夫妻、ハンガリー貿易弁事処のDaniel Csaba Lorincz代表、「覆写真実」のキュレーター、頼駿杰氏、アーティストの呉天章氏らが出席した。蔡英文総統も展覧会の成功を祈る祝電を寄せ、「展覧会を通じて文化交流の視野が広がり、写真から歴史の記憶を見つめると共に自由な創作の価値を示し、多元的で思いやりのある和やかな『地球村』を共同で創り出すため貢献出来ることを望む」と述べた。
国立台湾美術館とリトアニアの国立美術館(Lithuanian National Museum of Art)が交流するきっかけとなったのはコロナ禍での友情のつながりで、両館は写真を核心としたテーマ展を企画した。リトアニア国立美術館の企画した「リトアニアの写真にアイデンティティを探る」展覧会では同美術館収蔵の写真作品を展示、展示のテーマは自らのアイデンティティにまつわる文化的な問題で、21人のアーティストの手による87作品が展示されている。作品は時系列で1950年代からこれまでのリトアニアの歴史と写真撮影の発展過程を紹介。特にリトアニアの写真史における写実主義から観念主義への変遷は多元的かつ異質な生命力を伝えている。
一方、国立台湾美術館の企画した「台湾の現代写真アーカイブとアイデンティティ」で展示されるのは同美術館と国家撮影文化センターの収蔵する写真作品が中心。そのほか、この展覧会のテーマに共感する若手アーティストを招き、共同で作品を展示してもらうとのことで、アーティスト15人による写真作品とマルチメディア作品がそろった。国立台湾美術館では、台湾の現代写真アートが「アイデンティティ」問題に向き合った様々なイメージが、こんにちの状況からリトアニアにおける写真の発展史に応え、素晴らしい交流と対話が展開されることを期待するとしている。