航空宇宙産業の発展に積極的な台湾では、すでに複数の企業が米国の著名な航空宇宙メーカー、スペースXの重要なサプライヤーとなっている。科技部(日本の省レベル)の呉政忠部長(大臣)はこのほど代表団を率いてスペースXを訪問。呉科技部長らはその際、同社上層部に対して直接、台湾にテストセンターもしくは実験室を設置して台湾のサプライヤーが生産した部品を検証することで検証効率を引き上げることを提案、スペースX側は考慮の対象に加えることを約束した。
同社を訪問した台湾の代表団は呉科技部長のほか、国家実験研究院国家太空中心(NSPO=国家宇宙センター)の呉宗信主任ら15名。スペースXでは販売担当のトム・オチネロ(Tom Ochinero)バイスプレジデント、ならびにスターリンク運営部門のChad Gibbsバイスプレジデント(スターリンクはスペースXが運用する衛星コンステレーション)が対応し、同社の重要なプロジェクトを説明したほか、代表団を工場に案内してロケットの製造状況、ならびにスターリンクの地上でのアンテナ操作がいかに簡単かを紹介した。
台湾企業がスペースXの重要なサプライヤーとなっていることから、呉科技部長は台湾がこれからも同社との緊密な連携を望んでいることを伝えたほか、スペースXが台湾に部品のテストセンターを設置することで同社と台湾のウインウインを実現するよう提案した。
なお台湾の代表団はスペースXのほか、小型人工衛星の打ち上げを行う宇宙開発企業、ヴァージン・オービットも訪問し、最高戦略責任者のジム・シンプソン(Jim Simpson)氏と面会した。代表団は同社のロケット打ち上げと運営モデルについての説明を受けたほか、同社の工場エリアを参観。呉科技部長は、訪問した企業2社はいずれも台湾と協力していくことに前向きで、台湾が航空宇宙産業を発展させる上で大きな助けになるだろうと期待した。