2024/05/20

Taiwan Today

文化・社会

ジェンダーギャップ解消の取り組みで成果、アジアでは依然トップレベル

2023/02/06
2021年の台湾のジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index, GII)は0.036で、他国と比較するとアジアでは最も高い水準だった。(行政院サイトより)
行政院性別平等処が1月31日に発表した「2023年性別図像(GENDER AT A GLANCE IN R.O.C.)」によれば、2021年の台湾のジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index, GII)は0.036で、他国と比較するとアジアでは最も高い水準だった。この年間レポートは、ジェンダー平等を推進する同処が、台湾における最新のジェンダー事情をまとめているもの。ジェンダー平等における台湾の取り組みの成果がうかがえる。さらに2022年の地方公職選挙では県・市の首長のうち女性の割合が過去最高の5割超となったほか、今回の新内閣でも女性比率が17%近くと、2021年より10ポイント近く上昇している。
 
行政院性別平等処によれば、国連開発計画(UNDP)が発表した最新のジェンダー不平等指数の算出方式を台湾にあてはめると、2021年は0.036で、2019年の0.045よりさらに改善してアジアではトップ、統計が行われた170カ国・地域と比べると7番目の水準だった。過去5年間でみると、0.036~0.056の間で、アジアでは1位、世界では6~9位のレベル。
 
各指標別でみると、「権力、意思決定と影響力」では、公的部門における女性の参政の割合が引き続き高まっており、2022年の地方公職選挙における首長及び議員のうち女性の当選者の割合が過去最高となり、県・市の長は56.3%と前回より18.8ポイント拡大、直轄市及び県・市の議員では女性が3分の1を超えた。また、考試委員、監察委員、裁判官などではいずれも女性の割合が4割を超えている。民間部門では中小企業における女性の責任者が増え、2021年では37.2%に達した。
 
「就労、経済と福利」では、2021年における15歳以上の女性の労働参加率は51.5%、経常性賃金は月4万30台湾元(約17万6,000日本円)だった。特筆すべきは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症のパンデミックに見舞われた過去3年間において、他国では女性の労働参加率が上下又は下降したのに対して、台湾では安定的に上昇しており、ジェンダーギャップも徐々に縮小していることである。ただ、障害者については女性の労働参加率が14.7%にとどまり、全国平均を36.8ポイント下回っただけでなく、失業率が8.1%と、低労働参加率かつ高失業率となっている。さらに、先住民では女性の労働参加率が55.7%と高かった一方、経常性賃金が2万7,688台湾元と全国平均の69%と低い水準にとどまる。
 
「教育、メディアと文化」と「環境、エネルギーと科学技術」では、積極的に女性人材の育成が進んでおり、2019年の新卒のうち「自然科学、数学及び統計」と「エンジニアリング、製造及び建設」を専攻した女性はそれぞれ43.1%、18.9%と、2018年からそれぞれ0.8ポイント、0.5ポイント拡大した。また研究者の数は2020年に女性の割合が22.9%に達し、10年前より1.4ポイント伸びた。
 
「人身の安全と司法」では、2021年の性被害案件の通報における被害者は計7,787人で2020年から1,425人減少した。ただし、「バーチャル環境―テクノロジー設備」を発生地点とするセクシュアルハラスメントなどのデジタル/インターネットでの性暴力はすべての地点の23%を占めた。インターネットを利用した児童及び少年の性的搾取の被害は延べ1,395人とその前2年よりも上昇し、メッセンジャーアプリを利用したものが48.1%でトップ、次いでインターネット(ソーシャルネットワーク含む)が47%と、デジタル又はインターネットを使った性暴力を未然に防ぐ取り組みの強化が待たれる。
 
行政院性別平等処によれば、各方面からのジェンダーギャップ解消に積極的に取り組むため、行政院の主導で2022年~2025年のジェンダー平等など重要な課題及び各省庁によるジェンダー平等推進計画が進められている。これらの取り組みを通じて、さまざまなジェンダー属性の人々の権利を保障し、特に不利な境遇にある人々に対して、安全でジェンダーフレンドリーな社会構築に取り組みたいとしている。「2023年性別図像(GENDER AT A GLANCE IN R.O.C.)」や関連の指数は行政院のジェンダー平等特設サイト(https://gov.tw/Xri)で無料で閲覧することができる。

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