蔡英文総統が3日午後総統府で、日本の複数の野党による議員団の表敬訪問を受けた。訪問したのは国民民主党の前原誠司氏、浅野哲氏、斎藤アレックス氏の衆議院議員3名と伊藤孝恵参議院議員、立憲民主党の渡辺周氏、稲富修二氏、徳永久志氏の衆議院議員3名と元衆議院議員の萩原仁氏、日本維新の会の藤田文武氏、和田有一朗氏、金村龍那氏、岩谷良平氏の衆議院議員4名。
蔡総統はあいさつの中で、台湾の政治経済の情勢に対する理解を深めるための訪台であるほか、日本国会の台湾に対する超党派の支持を示すものだとして「心から感謝する」と述べた。
蔡総統は「台湾と日本は自由民主の価値を共有している」とした上で、地震や豪雨などの自然災害、ならびにコロナ禍が起きる中で長年にわたって互いに支えあい、難関を共に乗り越えてきたことで「善のサイクル」が生まれたと指摘。蔡総統は、こうした経験が台日の人々にかけがえのない深い友情をもたらしたとの見方を示した。
蔡総統はまた、国際社会で台湾が様々な挑戦に直面するとき、常に日本は重要な「民主の盟友」だったとし、日本もメンバーであるG7(主要7カ国)が3年連続で、「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安全保障ならびに繁栄に重要だ」と表明したこと、そして日本が今年世界保健総会(WHA)において台湾のWHA及び世界保健機関(WHO)参与への支持を訴えたことに感謝した。
蔡総統は、台湾は公衆衛生の面のみならず、世界経済や貿易の発展にも貢献する能力と意欲があると強調、訪台した議員たちが日本の国会で影響力を発揮し、台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)入りを助けてくれることに期待した。
今回の訪問団の団長を務める前原誠司衆議院議員はあいさつの中で、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の主な野党3党が合同で訪台することで、自由民主や人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を共有する台湾との友好関係をさらに発展させたいと述べた。
前原氏は、台湾は日本にとって非常に重要な友人であり、台湾の人々の「現状を維持し、武力による一方的な現状変更には反対する」との考え方を日本は全力で支持すると説明。さらに経済安全保障の課題は非常に重要で、特にサプライチェーンの安定維持が大切であるとの見方を示した。その上で前原氏は、全世界に名をはせる半導体ファウンドリーのTSMC(台湾積体電路)が現在熊本県で工場を建設中で、さらにこのほど第2工場も検討中だと明らかにしたことは日本国民を大いに力づけるニュースだと指摘、「日本はこれに大いに賛成し、歓迎している」と述べた。
前原氏はまた、「台湾が新型コロナウイルスの制御で卓越した成果を挙げたにもかかわらずWHOに参与出来ないのは国際社会にとって重大な損失だ。今回訪台した野党3党はいずれも台湾のWHO参加を支持しており、台湾のCPTPP加入についても後押ししていく」と述べた。
そして前原氏は、日本は権威主義国家が民主主義国を圧迫することに反対しているとした上で、普遍的な価値を共有する理念の近い国々が手を取り合って協力し、自由で開かれた社会を築いていくことが地域の平和と安定にとって非常に重要だと強調。今後は全力で両国の人々の往来を促進し、台日関係のいっそうのレベルアップを目指す考えを示した。
なお、一行はこの日午前には頼清徳副総統を表敬訪問した。