コロナ禍が収まる中、台湾の政治、経済、文化に対する欧州連合(EU)の理解を深めて双方の関係を強化するため、教育部(日本の文部科学省に類似)が欧州委員会(European Commission)及びEU加盟国の政府関係者による台湾での研究及び中国語文化の研究学習活動を再開している。今回、招きに応じて参加しているのは18名。
EUの関係者が団体で台湾を訪問して研究を行うこのプロジェクトは2017年にスタート、今年で16年目だが、2019年から昨年までの3年間はコロナ禍の影響で中断。今年はコロナ禍が収まり、入国制限も解除されたことで再開された。プロジェクトは政治経済研究グループと中国語文化研究学習グループに分かれ、それぞれ国立政治大学(台湾北部・台北市)と私立輔仁大学(同新北市)が担当。政治経済研究グループは8月14日から19日までで、各分野の教授がセミナー方式で台湾の政治、経済、社会、教育、文化などを紹介している。一方、中国語文化の研究学習グループは14日から23日までで、中国語の基礎を習得しているEUの政府関係者を対象に言語と文化に関する集中的な学習プログラムが組まれている。今回訪台している18名はEUに加盟するハンガリー、ルーマニア、ベルギー、ポーランド、オーストリア、ドイツ、リトアニア、スペイン、イタリア、ブルガリア、フランスの11カ国の政府関係者たちで、それぞれの専門分野は経済貿易、外交、文化と教育、科学技術、気候環境、健康などと幅広い。
教育部は16日、午餐会を開いて参加者たちを歓迎した。教育部の劉孟奇政務次長(副大臣)は台湾とEUとの教育交流は豊かな成果を挙げているとし、過去5年間に台湾に留学したEUの学生数は2万5,230人、逆に台湾からEUに留学した学生数が3万930人に上っていることを指摘した。また、台湾の各大学とEUとが結んだ学術交流に関する協定は2,911件に及ぶ。台湾ではEUと協力して「教育部EU奨学金」を設立しているほか、EUの教育助成プログラム「エラスムス・プラス」の国家拠点(Erasmus+ National Focal Point, ENFP)も設けられている。劉政務次長は、「台湾とEUは豊かな文化資産を持つと同時に自由民主の価値も共有しており、日々深まる交流と協力を通じて、今後様々な分野で従来とは異なる創意と成果が生み出されることに期待する」と述べた。
教育部はEUの政府関係者を台湾に招き、文化と教育面での交流を行うほか、これら政府関係者の外交部(日本の外務省に相当)や経済部(日本の経済産業省に相当)国際貿易局、EUの台湾における代表機関に相当する欧州経貿弁事処、EUの助成により台湾の7大学によって設立された大学連盟の「台湾欧州連盟中心(EUTW)」(台湾EUセンター)などへの訪問も手配。各省庁と欧州委員会とが交流を深めることで、EUにおける各分野の発展状況を把握するという。教育部は、このプロジェクトが、EUの政府関係者が台湾を多面的に理解するのを助け、交流や提携の機会を増やし、双方の政治経済、文化と教育面での関係を広げてくれるよう期待、「それらが台湾の国際的な地位向上につながれば」としている。