2024/06/22

Taiwan Today

外交

中国が台湾産マンゴーの輸入を停止、農業部は「具体的な取り組みで農家の収益守る」

2023/08/22
中国大陸が台湾産マンゴーの輸入の一時停止を台湾に通知。農業部は21日、「科学原則に反する」として遺憾の意を表明すると共に、具体的措置で生産者への影響を防ぐと説明した。(農業部サイトより)
中国大陸の海関総署(税関)が21日、「海峡両岸農産品検疫検験合作協議」のプラットフォームを通じ、台湾産マンゴーからミカンコナカイガラムシが見つかったとして21日より台湾産マンゴーの輸入を一時停止すると台湾に通知。これを受けて農業部(日本の農林水産省に相当)は21日、「中国側が国際慣例に従わず、科学的な対話を経ずに任意に貿易を中断するやり方を繰り返していることに対し、深い遺憾の意を表明する」とすると共に、引き続き双方の間に設けられたルートを通じて中国大陸側が1日も早く台湾と実務的な対話を行うよう呼びかけ、合理的な解決方法を見出してマンゴーの1日も早い輸出再開を目指す方針を明らかにした。農業部はまた、国内での販売強化、加工品の生産促進、海外新興市場の開拓などの具体的な措置で国内でのマンゴー価格を安定させ、生産者への影響を防ぐと説明した。
 
農業部は、ほかの貿易相手国からはミカンコナカイガラムシによるマンゴーの輸入停止措置を受けたことがないと強調。台湾産マンゴーの対中輸出はすでに長く行われており、これまでに輸出したのは5,600ロットあまり。そのうちシトラスコナカイガラムシが見つかったとの通知があったのは今年6月15日と8月3日の各1ロットのみで、それぞれただちに梱包工場と果樹園を確定し、該当する生産農家と工場に対して栽培と選別管理、農薬の自主検査を強化するよう指導。併せて7月4日と8月17日に中国側にその旨を通知したがそれに対する反応はなかったという。また、輸出に際しての検疫も強化。国際規範ならびに中国大陸の規定をみたしていることを確認してからはじめて輸出検疫証明書を発行することにしている。
 
農業部によると、今年のマンゴー生産量は約17万トンで輸出はそのうち2.2%。中国大陸へは938トンが輸出されているが総生産量の約0.5%にすぎず、マンゴーが内需型の果物であることがわかる。一方、輸出先の分散でも成果が出ており、中国大陸への集中が解消。現在では日本と韓国が輸出額で上位2位を占めるようになった。今年7月末までのマンゴーの輸出額は1,475万米ドル。重量ベースでは3,873トンに達する。主な輸出先は日本(567万米ドル、715トン)、韓国(384万米ドル、628トン)、香港(303万米ドル、1,458トン)、中国大陸(171万米ドル、938トン)。農業部と輸出業者が日本、韓国、シンガポール、カナダ、ブルネイ、ニュージーランド、オーストラリアなどの新興市場とハイエンドマーケットの開拓に努めた結果、中国大陸以外の市場へのマンゴー輸出が数量、金額ともに徐々に増加した。加えて今年の生産期はほぼ終わりに近づいていることから、今回の中国大陸の輸入停止措置が台湾におけるマンゴーの生産と販売に与える影響は限定的だという。
 
農業部では、政府と生産農家、生産者団体、貿易業者が共に努力した結果、近年、中国大陸に対する農産物全体の依存度が大幅に低下したと指摘。農産物の輸出全体に中国大陸が占める割合は2018年の23.2%から昨年の12.9%へと低下。今年1月から7月までではさらに9.1%まで下がっている。農産物の輸出先として中国はすでに4位に後退(上位3位は米国、日本、香港)。果物に限っては、輸出全体に中国が占める割合は2019年がピークで80.1%に達したが昨年はわずか1.6%へと低下。現在は日本が台湾産果物の最大の輸出先となっている。農業部は、「中国大陸が科学原則と国際慣例に反して台湾の農水産品の輸入を一時停止する中、政府は国内での販売、加工品の生産促進、海外新興市場の開拓を強化することで国内での生産・販売と産地価格を安定させ、生産者への影響を防いでいく」と話している。
 
 

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