長崎県平戸市の黒田成彦市長は29日、平戸市議会の池田稔巳副議長などを含む訪問団を率いて台南市を訪れ、両市の「友好交流協定書」に調印した。平戸市は、台南を拠点にオランダ人を駆逐した明の遺臣、鄭成功の出身地。今年は鄭成功の生誕400年の節目の年でもある。台南市側は、黄偉哲市長を筆頭に、新聞及国際関係処の蘇恩恩処長、文化局の謝仕淵局長が一行を出迎えた。調印式にはオランダ東インド会社の最後の台湾行政長官フレデリック・コイエットから数えて14代目の子孫、Michael Coyetさんも同席した。
黄偉哲市長は、平戸市が鄭成功の出身地であること、台南と平戸市は鄭成功が縁となり長年にわたって交流を続けてきたことに触れ、「こうした歴史を踏まえた上で、平戸市と友好協定を締結し、また、コイエット台湾行政長官の子孫を台南市に迎え、3者がここでつながれたことを大変光栄に思う」と述べ、台南市と平戸市が友好都市となり、今後も文化、教育、スポーツなど各方面で交流を展開し、より緊密な友好関係を確立できるよう期待を寄せた。
鄭成功は1661年4月21日に2万5,000人の兵士を率いて台南に上陸し、台湾南部を支配していたオランダ人を駆逐した。鄭成功の台南上陸363年を記念するため、28日には台南市で、国が主催する「明延平王鄭成功来台363週年中枢祭典」が行われ、平戸市の黒田市長やMichael Coyetさんとその家族も参列した。
黒田市長は、台南市と平戸市が友好交流協定を締結できたことを歓迎するとともに、偉大な英雄である鄭成功が平戸市で誕生し、歴史が繋ぐ縁によって、台南市と平戸市が交流を続け、深い友好関係を築いてきたことを喜んだ。なお、台南市と平戸市の市民団体は2013年に交流促進協定を結び、これをきっかけに両市も交流を深めていった。
平戸市は長崎県北西部に位置する。鄭成功は、中国人海商で平戸を根拠地として活動した鄭芝龍と、平戸川内の田川マツを母に1624年7月14日、平戸で生まれた。平戸市の千里ヶ浜には鄭成功の誕生にちなむ「児誕石」がある。