全米図書協会(National Book Foundation)は米東部時間10日、2024年全米図書賞(National Book Awards 2024)のノミネート作品リストを発表し、台湾の作家、楊双子さんの作品『台湾漫遊録』(邦題:台湾漫遊鉄道のふたり)の英訳版『Taiwan Travelogue』が翻訳部門にノミネートされた。今年同部門には10作品がノミネートされたが、アジアの作品はこの1作品のみ。翻訳部門は1984年から2017年まで中断しており、再開した2018年以降に華語小説を英訳した作品がノミネートされるのは初めて。米国を代表する文学賞に台湾の小説がノミネートされるのも初めてと言える。
全米図書賞は小説、ノンフィクション、詩、翻訳、児童文学の5部門がある。9月に各部門のノミネートリスト各10作品が順次公表される。10月1日に最終候補が5作品に絞られ、11月20日の授賞式で受賞作が発表される。
今年、翻訳部門にノミネートされた作品は、台湾華語(繁体字中国語)のほか、アラビア語、デンマーク語、フランス語、スペイン語、スウェーデン語の6つの言語で執筆されたもの。過去には日本や韓国の翻訳作品がノミネートされたこともあり、2020年には在日韓国人の小説家、柳美里さんの『JR上野駅公園口』が翻訳部門で全米図書賞を受賞している。
『台湾漫遊録』は春山出版社から2020年4月に出版された。2021年には台湾の出版業界における最高栄誉と言われる金鼎奨を図書類文学図書部門で受賞。また、文化部が実施する翻訳出版助成事業に採用され、その英訳版『Taiwan Travelogue』が今年11月に米Graywolf Pressから出版されることになっている。
文化部の米ニューヨークの出先機関、文化部駐ニューヨーク台北文化センターと駐ロサンゼルス台湾書院によると、『台湾漫遊録』の著者である楊双子さんとこの作品を英訳した金翎さんは来年2月、ニューヨークとロサンゼルスで文学講座を開催する準備を進めている。米国の読者と対面し、台湾の文学作品の魅力を伝えられると期待が寄せられている。