環境部(日本の環境省に相当)が今年はじめに米航空宇宙局(NASA)と協力し、台湾南部の高雄市と屏東県を対象に実施した大気質調査の結果が14日公表され、一部の石油化学工場の排出する汚染物質の濃度が地表と比べて上空の方が高いことが明らかになった。この調査によって大気汚染の適切な管理が実現し、改善策の策定につながるよう期待される。
環境部は14日、NASAと協力して国内外の学校や研究機関と共に高雄市から屏東県にかけて行った大気質調査の結果を記者会見で発表した。環境部は今年2月から3月にかけて、NASAの「空飛ぶ実験室」DC-8とGⅢの2機、さらに国内外の学者、専門家と協力して大気質に関する調査を行い、高雄市と屏東県地区で大気汚染に影響する気象条件と大気の環流形態を把握した。特に高度200メートルから800メートルの垂直高度上の汚染物質の変化、ならびに微小粒子状物質(PM2.5)とオゾン(O3)、さらにその前駆物質と潜在的化学物質などをモニタリングした。
このほか、初めて同地区におけるPFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物)の濃度を観測。他国および最近の海外の文献による平均値を下回っていることが分かった。環境部は、今後も大気汚染の研究とモニタリングでNASA及びその他世界の仲間たちと協力するほか、人工衛星を開発して大気汚染の細部にわたるデータ、流入元や地元の発生源をよりはっきり把握する考え。
環境部は、国産の大気質観測システムによるモニタリングの結果も今回の調査結果と近かったため、来年はドローンにサンプル採取装置を搭載し、大気質調査を台湾南部から中南部の台南市、雲林県、嘉義県に広げていく方針。また、NASAが推進する国際的な大気観測活動「7 South East Asian Studies, 7-SEAS」の都市部対象の調査も並行して進めるとしている。また、国家太空中心(国家宇宙センター、TASA)と協力覚書を締結し、環境モニタリングにおける人工衛星データの利用を拡大するという。