「2024投資欧盟論壇(EU Investment Forum)」(以下、「EU投資フォーラム」)が18日に台北市内で開催され、輸送、電信、情報通信技術、半導体、AI(人工知能)関連のサプライチェーンの整備を中心に意見が交わされた。開幕式には頼清徳総統、欧州経貿弁事処(EETO)のLutz Guellner処長(EUの駐台大使に相当)、経済部(日本の経済産業省に相当)の郭智輝部長(=大臣)、外交部(同外務省に相当)の陳立国常務次長(=事務次官)らが出席した。
頼総統はスピーチで、今年で「5年目のマイルストーン」となる「EU投資フォーラム」は台湾とEU間の重要なプラットフォームで、台湾から欧州に向けた投資の大幅な増加を促進しているほか、海外からの台湾向け投資でEUを長年最大の投資国にしていると評価した。
頼総統は、台湾とEUは民主主義と自由の価値を共有し、互いに欠くことの出来ない戦略的パートナーだと指摘。その上で、権威主義拡張の脅威に向き合い、台湾とEUは共同でより頑丈な「民主主義の保護の傘」を造り上げなければならないほか、民主主義国によるより安全で強靭なサプライチェーンを構築せねばならないと強調した。
EUとの連携拡大に向けて頼総統は、台湾が近年「欧州連結計画」、「中東欧融資基金」、「半導体に関する提携計画」などの政策を打ち出していることを指摘、双方がハイテク分野、グリーンエネルギー分野などでのパートナーシップを深めていることを説明した。また、昨年は台湾の対EU投資案件が22件増え、総投資額は49億米ドルを超えて2022年の850%に急増したという。
頼総統は、台湾の著名な企業の多くが欧州市場進出に積極的だとした上で、今後はより多くの欧州企業が投資先に台湾を選択してくれるよう期待。また、台湾とEUとの経済連携協定(EPA)締結を実現し、互恵の関係を制度面から支えることに意欲を示した。
頼総統はこれについて、EPAを締結することで台湾とEUは半導体、AI、デジタル、環境、グリーンエネルギーなどの分野で連携することが出来、それは双方の経済の強靭性と安全の強化、ならびにグローバルなサプライチェーンの安定した運営の確保につながると訴えた。
頼総統は、台湾とEUは互いに有利な投資環境を提供しているほか、世界の民主主義と平和、繁栄を促進しようという共通の目標を持っていると説明、「この場を借りて、EU及びEU各国が具体的な行動で台湾海峡の航行の自由を守っていることに感謝する」と述べた。中国が今年5月と10月に台湾周辺で軍事演習を行った際には欧州対外行動庁(EEAS)も声明で懸念を表明、台湾海峡の平和と安定支持の揺るぎのない立場を重ねて示した。
頼総統はそして、EUがインド太平洋地域の問題に積極的に参与しているのと同様に、台湾は民主主義の価値を守る一員としてウクライナへの人道支援などで貢献し、欧州諸国と手を取り合って共に繁栄と発展を実現すると強調した。