外交部(日本の外務省に相当)の呉志中政務次長(=副大臣)が27日、中東欧の著名なシンクタンク「GLOBSEC」の招きに応じて、スロバキアで行われた「Taiwan Forum(台湾フォーラム)」に出席し、「Strengthening Taiwan-Central and Eastern Europe Cooperation」(台湾と中東欧との協力強化)と題した講演を行った。この中で呉政務次長は、台湾と中東欧諸国はサプライチェーンでの結びつきを強化し、権威主義国家への対抗とウクライナへの人道支援で協力していくべきだと強調した。呉政務次長はまた、スロバキア、チェコ、リトアニア、ルーマニアなどの政界要人との座談会で、地域の安全保障に関する連携などを議題に話し合った。同フォーラムは政界、学術界、各国の外交使節から100名近い関係者が参加する盛況となり、台湾と中東欧諸国との様々な分野での協力の可能性と重要性が示された。
呉政務次長は、中国が最近台湾に対する軍事的威嚇を強めていることはアジア太平洋地域の平和と安定に深刻な影響をもたらしていると指摘。同時に台湾海峡が重要な国際航路であること、台湾が先端半導体の重要な生産国であること、そして中東欧と台湾が共に共産主義の強権国家に対抗して来た歴史を持つことを挙げて、安全保障、経済、戦略に関する各レベルでの連携を強め、世界に民主主義国家による強靭なネットワークを築くよう呼びかけた。呉政務次長は、台湾の存在は「新たな形態の国家」を示すものであり、台湾は「総合外交」という新たな理念を以って、中東欧で近い理念を持つ国々と共に地域の平和と繁栄を促進していくと語った。
呉政務次長はまた、台湾は競争力の向上、多元的な発展、経済安全保障の強化に引き続き取り組み、国家全体の安全と強靭性を高めていかなければならないと述べる一方、台湾は世界の半導体産業の中で極めて重要な地位にあり、世界が信頼出来る重要な協力パートナーにもなっていると強調。そして、今後も理念の近い国々との多元的な協力関係を深めていく考えを示した。
このほか呉政務次長はロシア・ウクライナ戦争にも言及、台湾は貴重な教訓をこの戦争から得ており、ウクライナ人民が国土を守ろうとする決意に深く感動しているほか、ウクライナがとる非対称戦争の戦略も台湾にとって重要な啓示になっていると説明した。呉政務次長はさらに、国際社会のウクライナに対する支持が極めて重要であることを強調、「台湾の未来にも深く影響する」と訴えた。
フォーラムのスピーカーを務めたスロバキア国会外務委員会のヴァラーシェク(Tomáš Valášek)副委員長、リトアニア国会外交委員会のエマヌエリス・ジンゲリス(Emanuelis Zingeris)委員長、ルーマニア通信監督規制庁(ANCOM)のパヴェル・ポペスク(Pavel Popescu)副長官、ルーマニア元老院(上院)のAlexandru Nazare議員、同代議院(下院)のBen-Oni Ardelean議員はみな、台湾海峡の安全の世界経済及び地域の安全保障に対する重要性を認め、欧米の主要な民主主義国に対して台湾との様々な面での協力関係を強化するよう呼びかけた。
スロバキアの首都ブラスチラバにある「GLOBSEC」は中東欧における重要なシンクタンクの一つ。今回のフォーラムでは世界の安全保障情勢において台湾が重要な地位にあることにフォーカス、著名な政界要人や外交使節のメンバーが数多く参加するなど、スロバキア及び中東欧地区の政界が台湾問題を重視していることが示された。