今回の特別展示は、台湾の言語政策の歴史的変遷に焦点を当て、「国語運動」が人々の生活や言語、文化に与えた深い影響を浮き彫りにしている。展示では、日本統治時代(1895~1945年)中に日本語を国語(常用語)とした皇民化運動、第二次世界大戦後の国民党政権支配下(1945~1992年)における北京語の普及という、2度の「国語運動」で、教育、政策、法律などの手段を通じて、いかに土着言語を制限するかを探っている。また、白色テロの犠牲者を例に挙げ、言語政策による個人や民族集団への抑圧を示し、母語の消滅や伝承危機に警鐘を鳴らす。
展示は、日本統治時代の日本語奨励から、国民党政権下の北京語普及を経て、多様な言語の保存と継承を促進する現代の取り組みに渡った6つの主要なセクションに分かれている。それらは、▽日本統治時代の国語運動▽学校では中国語を話し、中国語の発音記号「ㄅㄆㄇㄈ」を学ぶ▽言語政策で抑圧された白色テロの被害者たち▽母語禁止の日常▽日常生活における言語▽母語の保存・伝承を促す社会運動と一緒に母語を守ろうなど充実したコンテンツ。情景の再現、現物資料、映像によるインタラクティブ展示など興味深い展示手法を通じて、市民の共感を呼び起こし、言語の多様性に対する認識を深め、多様な言語の保存、発展、応用の実現を目指す。
国家人権博物館は、「この展覧会を通じて、市民が『国語政策』による各エスニックグループの母語抑圧を深く理解し、その影響で母語が徐々に消滅し、継承の危機に直面する過程を理解してもらえるよう期待している。観衆が言語政策の発展の歴史的背景を振り返り、言語と文化の保存の将来について、共に考えていけるよう願っている」と語った。