今年も残すところあと1週間だ。国立故宮博物院は2025年で開館100周年に、嘉義県太保市にある南部院区も開館10周年の節目を迎える。故宮の蕭宗煌院長らは24日、記者会見を開き、「故宮100+」と名付けた100周年事業の詳細について説明した。
参観者数は北院・南院合計で延べ350万人目指す
今年、現在までの北部院区(台北市)の参観者数は延べ180万4,698人で、年内には185万人に達することが予想される。そのうち外国人旅客は延べ89.7万人で、トップは韓国人の30.4万人、2位は日本人の29.5万人となる見込みだ。南部院区は主に台湾人参観者が多く、現在までの参観者は延べ95万2,751人で、年内には96万人を突破する見込み。12月28日と29日は、開館9周年記念として入館無料とするため、参観者が一気に増えると期待している。来年の目標は北部院区が延べ250万人、南部院区が延べ100万人で、合計では350万人とする。
「故宮100+」は特別展が続々
2025年1月25日から2月22日までの春節(旧正月)期間、北部院区も南部院区も休まず営業する(ただし、旧暦大晦日に当たる1月28日だけは午後4時閉館とする)。また、北部院区では1月28日より旧正月に合わせた特別展「歳時吉慶-院蔵節令文物精粹」(季節の祝い事─故宮所蔵品から見る清代の年中行事とその文物)を開催し、清の宮廷における二十四節気ごとの暮らしにまつわる文物を展示する。1月23日から4月20日までは、現在北部院区で開催されている「大美不言—国立故宮博物院、巴黎装飾芸術博物館及梵克雅宝典蔵精粹」(大美あるも言わず─国立故宮博物院、パリ装飾芸術美術館及びヴァンクリーフ&アーペルコレクションの精粋特別展)が南部院区で開催される。5月には、過去に開催して好評だったデジタル展「沈浸故宮3.0:神話」(故宮に沒入するデジタル展:神話)を開催。南部院区では同じ5月に特別展「江戸浮世之美」を開催し、故宮が収蔵する江戸時代の浮世絵100点近くに加え、外部から借りた作品などを展示し、現在の東京の江戸時代の華やかな様子を再現する。北部院区では7月からの夏休みシーズンに、「碁人弈事:古代圍棋文化展」(碁人弈事:古代囲碁文化展)を開催する。これは故宮にとって初めてとなる囲碁文化をテーマにした展示だ。
10月になると北部院区第二展覧エリアで、AI技術を活用して故宮が収蔵する文物を展示する「故宮AI+夢想館」(故宮AIドリームラボ-故宮未来を描くAIの実験室)や、「皕宋──故宮宋版図書コレクション」、「千年の出逢い―北宋西園雅集の物語展」などを開催する。南部院区では毎年恒例の「アジア芸術節」を開催。2025年はテーマ国としてマレーシアを取り上げる。
2025年は故宮の国宝がチェコやフランスへ
2025年9月から12月まで、故宮の文物が初めてチェコへ渡る。チェコの国立博物館で行われる故宮展「故宮文物百選及其故事」(100 objects, 100 stories: treasures from the National Palace Museum)では、「翠玉白菜」や「清明上河図」などの国宝を含む百余点の文物が展示される。2025年11月から2026年3月までは仏パリのケ・ブランリ美術館で、故宮展「Dragon: an Exhibition from the National Palace Museum」が開催され、こちらも87組の文物が貸し出され、フランスの人々に東洋に広がる神秘的な「龍」の文化を伝える。
「故宮100+」を記念するイベントやグッズも多数
故宮は開館100周年を記念するため、故宮にまつわる古写真を募集するイベントを実施するほか、新たな記念グッズ、記念切手、記念コイン、記念酒の販売なども予定している。また、文化部が18歳から21歳までの若者を対象に発行する電子クーポン「文化幣(カルチャー・ポイント)」(台湾華語では「文化成年礼金」。文化部が支給する成人祝いに相当する)について、来年から発行対象に13歳~15歳を加えることを踏まえ、北部院区及び南部院区の売店では、「文化幣」を使用して1,000元(約4,800円)以上購入した消費者に対して、一部商品を除いて10%オフとするサービスを提供する。2025年2月28日までは、100元(約480円)以上購入すると特製の封筒またはノートをプレゼントする。
「故宮100+」をテーマにした書籍の発行
故宮は「故宮100+」をテーマにした書籍の発行も予定している。康軒文教とは児童向けの学習まんが『紅豆妮緑豆兵勇闖故宮院史篇─超時空搜索隊』を発行し、故宮の歴史をわかりやすく伝える。『故宮人説故宮事』は故宮に関係する人々の、文物や仕事にまつわるエピソードをまとめた書籍だ。ほかにも、『故宮大事録要続編』、『故宮学術季刊』、『故宮文物月刊』などの機関紙・学術誌でも特集を組み、故宮の100年の歴史を振り返る。