原住民族行政会議に出席した馬英九・総統(前列中央)と呉敦義・行政院長(前列左)。馬・総統は原住民族の自治実現を目指す考えを強調した。(中央社)
中華民国台湾では8月1日が「原住民族の日」。馬英九・総統は1日午前、「全国原住民族行政会議」に出席、「台湾における原住民族は49万人で総人口の2%以上。台湾の最も古い“主”で、無視することは許されない」と強調した。
馬・総統は、政府の原住民族政策四原則は、「各民族の違いの尊重」、「公平正義の原則」、「自治原則の普及」、「自主的な発展原則」だとした上で、政府は2009年から2012年にかけて原住民族インフラ方案に541億台湾元を投じるなど、過去3年来、原住民族政策と理念を一歩一歩実践してきていることをアピール。雇用についても、同4年間で3万2千人分の雇用機会を創出するとしている。馬・総統は、今年第1四半期における原住民族の失業率は5.28%で国民全体より0.8ポイント高いが、その差は2010年の1.32ポイントから明らかに改善されていると説明した。
司法面でのサポートについて、馬・総統は、政府は検察機関に「通訳人材バンク」を設けたのに続いて、去年は原住民族10種族の伝統的な習慣調査と整理、研究を現行の法制度に盛り込む委託研究報告を終えたと説明。原住民族の「薪伝奨(継承賞)」や「工芸品認証」なども創設したと、文化産業認証制度推進での成果も指摘した。金融面でも、「台湾原住民族創立育成センター」を設けて起業をサポート。
原住民族の社会福祉と文化遺産について、馬・総統は、原住民族地区の医療資源充実を継続する他、原住民族14種族の文化に関する基本教材の編纂は完了し、「台湾原住民族の言語、歴史、文化大辞典」も計画中だと説明、魏徳聖・監督の新作映画『賽德克・巴萊(セデック・バレ)』についても、日本の台湾統治に原住民族が抵抗した「霧社事件」の歴史に豊富な論述を提供すると特に評価した。
馬・総統は、「原住民族の自治と集落の再生を推進するのは政府の努力目標で、自治の計画はすでに初期的成果をあげている」と述べ、原住民族の自治については、「まず実現し、それからよりよいものにしていくべき」との立場を強調した。