政治
「建国百年平和祈念活動」金門で開催、馬総統が出席
2011/08/24
「八二三砲戦」で金門島に撃ち込まれた砲弾を鋳造し直し作られた「平和の鐘」。(中央社)
23日は金門島の「八二三砲戦」から53周年を迎えた記念日である。馬英九総統は同日午前、金門島で行われた「中華民国建国百年平和祈念活動」に出席し、「中華民国憲法の枠組みのもと、われわれは『1992年コンセンサス(九二共識)』と『不統、不独、不武(統一せず、独立せず、武力行使せず)』の政策を基礎に、(台湾海峡)両岸の緊張を緩和し、両岸の長期的な平和の基礎を打ち立てた。これはわれわれの世代の正義を実現する重要なことがらであり、次の世代のために平和的な環境を築かなければならない」と強調した。
総統はイベントで談話を発表する前に、1993年のノーベル平和賞を受賞した、フレデリック・ウィレム・デクラーク元南アフリカ大統領、および1997年ノーベル平和賞を受賞した「地雷禁止国際キャンペーン」のソン・コサル青年大使ら来賓とともに、「和平鐘(平和の鐘)」を鳴らし、平和の便りを伝えた。
総統が発表した談話の内容は以下の通り。
きょうは金門島「八二三砲戦」の53周年記念日である。53年前のきょう、40数日間に渡り、47万発余りの砲弾が撃ち込まれた。平均すると1平方メートル当たり4発近い砲弾で、死傷者は軍部と一般市民を合わせ2,600人を超えた。53年後のきょう、金門は、過去の両軍による「殺戮の戦場」から、両岸の「和平大道(平和街道)」へとすっかり姿を変え、毎日平均3,600人の観光客が金門を通過している。両岸の往来は年間延べ130万人を超え、金門は両岸「小三通」の中枢となっているが、これは過去にはまったく想像できなかったことである。
建国百年のきょう、われわれは当時撃ち込まれた砲弾の外殻で、平和の鐘を鋳造した。いたるところで砲火が上がった金門において、平和を祈念する鐘を鳴らすイベントを通じ、戦争の傷跡を平和の鐘の音に代え、世界が聞き届けてくれるのを願うことには、並々ならぬ意義がある。
実際、民国47年(1958年)の「八二三砲戦」」ののち、中華民国政府は「軍事三分、政治七分」の政策を採ることとし、両岸関係に取り組んだ。この大きな戦略は、両岸の平和に寄与しただけでなく、中華民国政府が台湾の建設に全力を注ぐことにつながり、台湾ののちの経済上と政治上の奇跡を切り開いた。
台湾海峡の平和は台湾の繁栄と安定にとって極めて肝要なものである。11年前、台湾で初めて政権が交代したとき、当時の陳水扁総統は「四不一没有(四つのノー、一つのない)」、「両岸統合」の主張を掲げ、両岸の平和に対する周囲の高い期待を集めたが、結果的にはまったく実現しなかった。当時の政府は「九二共識」(92年コンセンサス)」を否認したばかりか、「一辺一国」を主張し、「烽火外交」を推進したため、両岸の対立が過熱し、台湾海峡の安全が憂慮され、台湾は国際社会でさらに孤立することになった。
3年余り前、われわれは再度政権を執ると、ただちに台湾の利益に合致する実務的な主張を掲げた。つまり、中華民国憲法の枠組みのもと、台湾海峡において「不統、不独、不武」の現状を維持し、「九二共識」を基礎として、両岸の平和の発展を推進するということである。これまでに双方が15項目の協議に署名した結果、両岸関係は勢いよく発展し、両岸の人民がともに利益を享受している。
「九二共識」の意味するところは、「一個中国、各自表述(一つの中国の解釈を各自表明する)」である。われわれにとって、「一つの中国」とは憲法上の中華民国に他ならない。われわれが「九二共識」を支持するというのは、つまり中華民国を支持することであり、主権・領土・両岸の位置付けに対する憲法の規定を支持することである。
中華民国憲法は台湾で7度改正され、条文が追加された。しかし、領土・主権・両岸の位置付けに関する規定は、歴代3人の総統が就任した20年の間、まったく変わっていない。これは、台湾の人民により党派を問わず選出された国民大会代表が共に行った決定である。「両岸経済協力枠組み協議(ECFA)」と同様に、既成の事実であり、われわれが支持すべきものであるだけでなく、遵守すべきものである。
「不統、不独、不武」は現段階における、政府の両岸関係への取り組みの基本原則である。「不統」とは、統一について協議しないということで、つまり私の総統在任期間においても中国大陸と両岸統一について話し合うことは絶対にない。「不独」とは台湾独立を行わない、つまり法的な台湾独立に反対することである。「不武」とは武力を使わないということで、つまり双方の争議の解決における台湾海峡での武力の使用に反対することである。この3年余り、これら「三不(三つのノー)」政策は、台湾海峡の平和と安定の維持に貢献し、台湾人民の広い支持と国際社会の高い評価を受けた。逆に、もし「不統、不独、不武」と「九二共識」の政策が覆されるならば、両岸関係は必然的に不確定な状態に陥り、両岸双方にとって大きな打撃となり、台湾への影響は特に深刻なものになると考えられる。
われわれは、両岸の平和はまだ動き始めたばかりであり、相互信頼の基礎は依然脆弱であるため、双方の長期にわたる努力が必要だということを理解している。同時に、平和の維持は一方的な期待では実現できず、実質的で高い国防力の維持と必要な武器の調達が必要である。これは実力を維持し、平和を促進するための必要な手段である。
3年余りの経験により、われわれが中華民国憲法の枠組みのもと、「九二共識」と「不統、不独、不武」の政策を基礎としたことで、効果的に両岸の緊張を緩和し、両岸の長期的な平和の基礎を打ち立てたことが明らかになっている。これはわれわれが世代の正義を実現したという重要な意味も持っており、またわれわれは次の世代のために平和的な環境を築かねばならない。両岸関係を推し進めるとき、われわれは永遠に「台湾を主とし、人民に有利であること」を堅持し、主権と尊厳の議題において一度も譲歩したことはない。これは現在の実務政策が台湾の尊厳と利益を損なわないことを示すと同時に、対岸との平和で繁栄した関係を維持するものであることも示している。
本日、中華民国100年8月23日、中華民国と国際社会全体が、台湾海峡の平和に対し心から期待しており、平和が長く続き、戦争が二度と起こらないことを望んでいる。
先ほど金門と台湾および世界のために、「両岸が平和で、世界が穏やかであるように」と、祈りの言葉をしたためた。きょうこの平和のイベントの場を借りて、ともに祈り、安らかで穏やかな鐘の音がわれわれをともに平和の新世紀に導いてくれることを願いたい。