馬英九総統(右)と談笑するカールソン博士(中央)。(総統府ニュースリリースより)
馬英九総統は2日午前、行政院科学技術顧問代表のカーティス・R・カールソン博士と会見し、「台湾は人材確保の面で近隣国家・地域に後れを取っており、早急にこの後れを取り戻さねばならない」と表明した。馬総統は、国内には多少なりとも保護主義的な考え方は残っているものの、グローバル競争に直面し、クリエイティブな人材の誘致政策も必要だとの見方を示した。
カールソン博士は、シンガポールや香港、中国大陸、日本、韓国といった近隣諸国では、人材確保に投入する人的リソースや資金が台湾をはるかに上回っていると指摘。馬総統はこれに対し、過去3年余り、積極的に人材市場を開放しているが、まだ不十分だと述べ「後れを取り戻すには一刻の猶予もない」と危機感を示した。また、経済界には「市場開放で就業機会や製品の競争力にマイナスの影響を受けたくない」という保護主義的な考え方も残っていると指摘。「正当性は認めるが、グローバル競争にさらされる中では、より十全な政策を思索することが必要であり、産業と就業に悪影響を与えないという前提で、優れた人材の流出防止および誘致に取り組むことが、難しい課題となるだろう」と述べた。
馬総統はまた、今後20~30年はイノベーションの競争が進み、中でも人材がこれを握るカギとなるとの見方を示した。高い報酬だけでは優秀な人材を魅了することはできず、よりイノベーションに適切な環境を整えてこそ、こういった人材を誘致できると語った。台湾は「イノベーション」の向上には成果を上げており、引き続きどのように付加価値を高め、台湾のイノベーションの発展を世界で発揮するかを思索しなければならないと表明した。
科学技術顧問代表のカールソン博士は現在、非営利独立研究機関「SRIインターナショナル(SRI International)」の所長兼CEOを務める。これまで米国の主要企業を歴任。