馬英九総統は17日、「黄金十年、国家ビジョン」の五回目の政策説明会を開催、7つ目のビジョン「(台湾海峡)両岸の平和」と8つ目の「国際親善」について説明した。同時に、これまでのまとめとして、「黄金十年、国家ビジョン」構想は政府の自信と実務的態度の表れであると述べ、国家のため共に尽力しようと呼び掛けた。
国防や安全保障といった内容も含む「両岸の平和ビジョン」について馬総統は、自身の就任から3年余り、中華民国憲法の枠組みのもと、「不統、不独、不武(統一せず、独立せず、武力行使せず)」の現状を推し進めてきたと同時に、中華民国の主権を守り、台湾の主体性を堅持しながら、人々の福祉を促進してきたとあらためて述べた。これに関しては、行政院大陸委員会の数度にわたる世論調査の結果で、人々の主流の意見と合致していることが裏付けられていると述べた。
今後10年について馬総統は、「中華民国の主権をより強固にする」、「台湾の実力をさらに発展させる」、「両岸関係の良好な発展を主導する」との取り組みを引き続き行い、これを両岸関係政策の主軸とすると語った。うち、国家の安全のために設けた3本の防御線、「両岸和解の制度化」、「国際社会の発展に対する台湾の貢献の強化」、「外交と国防」に注力し、これを基礎とした台湾海峡の持続的な平和を確立すると述べた。また、米国からの調達に取り組む武器について、「国内で生産されていない防衛性の高いもので、古いものを淘汰するとの原則は変えない」と説明した上で、今後も米国に対し新型戦闘機F-16C/Dとディーゼル・エレクトリック潜水艦の売却を求めていくと述べた。
具体的には、「自由、民主、人権、法治」という台湾の核心的な価値を発揮させ、両岸の交流においては政府であれ人々であれ、この核心価値を双方の共通認識に変えていきたいとの期待を語った。また、良好な相互の交流があってこそ、双方が前向きに取り組むことができるとともに、両岸関係が真に平和的に発展することができるとした。
なお、両岸関係の推進においては「順を追って進める」という重要な原則があり、つまり「先急後緩(急ぎのものを先に、その他の問題はゆっくりと)」、「先易後難(解決しやすい問題を先に、難しい問題を後から)」、「先経後政(先に経済を処理し、後から政治問題を話し合う)」の手法で3年間余り行ってきたと説明。今後10年は両岸が順を追って進めるという状況のもと、将来的な「両岸和平協議」の調印の可能性ついて慎重に検討すると述べた。また、この前提として「国内の世論の高い支持」と「国家がこれを確実に必要とすること」、また「必ず国会の監督のもと行うこと」の3つがあってはじめて、一歩を踏み出せると説明した。
一方、「国際親善」について馬総統は、「われわれが国際社会で担う5つの役割は、『平和の創造者、人道援助の提供者、文化交流の推進者、新しい科学技術と商機の創出者、中華文化の案内者』であり、これを将来的な外交の取り組み方針とする」と語り、「活路外交」とする実務的で柔軟性の高い外交を引き続き行うと説明した。さらに、海外からの観光者数を今後10年で1,000万人に拡大することを目指すとともに、質の向上を重視していくと馬総統は述べた。