馬英九総統は29日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加だけでは台湾の必要性を満たしきれないため、中断している台米間の貿易投資枠組み協定(TIFA)に関する交渉再開は一刻の猶予もならないとの認識を示した。総統府で開いた月例財経報告においてのこの発言は、総統府の范姜泰基報道官が明らかにしたもの。
馬総統は、中国大陸が経済発展モデルを調整するにあたり、台湾に及ぶ可能性のある影響について、「台湾海峡両岸は、両岸経済協力枠組み協議(ECFA)を通じて経済貿易における協力関係を深めている一方で、両者間の競争関係も存在している。台湾は産業のモデルチェンジを通じて経済体質を全体的に改善するとともに、中国大陸の発展を注意深く見守り、台湾へのマイナスの影響を最低限に抑え、プラスの面を極大化しなければならない」と語った。
馬総統はまた、同日午前、中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)主催の「2012年新興及びEU市場調達パートナー大会(Sourcing Taiwan 2012)」の開幕あいさつの中で、「台湾はアジアの主要な貿易国家の中でも自由貿易協定の締結が最も少ない。すみやかに主要な貿易相手との自由貿易協定や経済協力協定の締結を進め、地域経済統合の流れの中での周辺化を避けたい」と強調した。
さらに馬総統は、「台米間では1994年にTIFAを締結し、経済貿易分野の交流プラットフォームとしている。昨年1月に後続の交渉再開が予定されていたが、米国産牛肉問題で中断されているため、直ちに交渉再開したい」と述べた。また、「米国からの圧力があるかどうかは抜きにして、われわれは自分の道を歩まねばならない」と語った。
一方、中華民国の駐米代表処(駐米大使館)は同日、行政院が打ち出した「安全許容量、牛肉のみ(豚肉は対象としない)、標示の強制、内臓は除外」とする4つの政策方針について、米国側はこれを評価する態度を示していると説明した。