行政院経済建設委員会(経建会)がまとめた報告によると、台湾の所得分配の不均衡の状況は、世帯当たりと一人当たりの可処分所得でみた場合、シンガポールや日本、香港、韓国などアジアの近隣諸国・地域および米国よりも格差が少ないことが明らかになった。一方で、所得分配をさらに公平で合理的なものとするため取り組みの余地はあるとした。
行政院の江宜樺副院長は23日、行政院所得分配改善チームの会合を招集した。会合では経建会や経済部など各省庁からの報告が行われた。経建会は、同チームを通じて所得分配の改善に関する7つの方針を、「所得分配改善具体計画」としてまとめ、実現化に当たって実際の状況をみながら調整を加え、成果を出していきたいとの方針を示した。なお、主計総処が昨年8月に発表した2010年の家庭収支調査によれば、所得分配の格差を倍数で示した場合、2010年は前年の2009年よりも開きが縮小している。
また、経済部は「企業の社会的責任」を推進していくに当たり、政府はこれに合わせた政策や措置、インセンティブを提示しながら、企業が自発的に社会的責任を果たすのを奨励すべきだと指摘した。さらには企業同士が互いに学び合う風潮を促し、従業員の福利と就業の安定性をより高め、最終的には所得分配の不均衡是正という政府の目的達成につなげたい考えだ。
同部はこの措置を強化するべく、以下の4項目の提言を行った。1.企業の社会的責任を果たすため、従業員の権益拡大と経済的弱者の女性の就業促進に取り組んだ企業について、表彰制度を常設する。2.経済的弱者の女性を優先的に雇用した企業に対し、健康保険や託児、高齢者介護の費用の助成が可能か検討する。3.政府の助成・奨励措置を強化するため、申請企業の従業員の権益拡大や経済的弱者の女性の就業促進の取り組みを、審査項目の重要な指標として取り入れる。4.定期的な労使交渉メカニズムを機能させている企業を公表し奨励する。
行政院研究発展考核委員会は「社会福祉行政・労働行政データベース統合企画案」について報告、福祉行政情報動向閲覧プラットフォームを2012年から3段階に分けて推進していくと表明した。具体的にはモバイルICT(情報通信技術)を運用し、現行の個別ケースについて通報メカニズムを整備、中央と地方政府のサービスの流れを統合し、社会におけるセーフティ通報ネットワークをよりきめ細かいものとしていく。
労働者委員会は、「新たな社会救援体制の実施に合わせた『低・中所得者層の就業促進措置』方案の推進状況」の報告を行った。これによると、2011年7月~2012年2月にこのサービスを利用した人は2万295人で、さらなる努力の余地があると指摘した。このサービスの普及がまだ十分でない主な理由は、低・中所得者層に就業を妨げる要素(介護や世話を必要とする高齢者・子どもがいる、または健康的な理由など)が存在することで、仕事の能力はあるにもかかわらず、就業意欲は低い状況にとどまっていると分析した。