2024/12/26

Taiwan Today

政治

若い世代は台湾を主体としたアイデンティティーを持つ傾向に

2012/05/14
若い世代、特に大学生では台湾を主体としたアイデンティティーを持つ人が多くなっている。写真は卒業写真を撮影する大学生ら。(中央社ニュースサイトより)

台湾の1986年以降に生まれた若い世代の5割近くが、国のアイデンティティーに関し、台湾を主体としたアイデンティティーを確立する傾向にあることが最新の調査で明らかになった。ただ一方で、8割近くが「国民投票で台湾の独立または、中国大陸との統一に反対を表明した場合、中国大陸側が武力による台湾との統一を放棄しない」との見方を示した。

財団法人21世紀基金会によるこの「主権と平和の間で―両岸間の平和の動向に関する調査」は、まず国立台湾大学政治学科の石之瑜教授らのチームに委託してアンケートが行われた。これを基礎として、同学科の張佑宗教授のチームが、「人々はいかに『平和の効力』を見つめ、評価しているか―質と量からの検討」をテーマにさらに調査と研究を加えた。

研究の過程では、グループによる6回の集中討論会を開催。同時に、有効回答数719件(対面578件、オンライン141件)のアンケートが回収された。期間は2011年8月~12月で、対象は高校生・大学生、大学以上(大学院生および社会人課程)の3区分に分けられる。

研究の結果、1986年以降に生まれた若い世代は、台湾を主体とした「台湾は台湾、中国大陸は中国大陸、どちらもお互いには属さない」との国家アイデンティティーを持つ人が48.8%を占め、うち大学生では52.8%に達した。また、台湾主体のアイデンティティーを持つ人の支持政党に関する設問では、中立を表明する人のうち52.5%を占めた。国民党や親民党などの政党を支持する人では20.3%、民進党や台湾団結連盟などの政党を支持する人では79.8%だった。

調査では、多くの回答者が、「一方的に主権の拡張(国民投票など)を図っても、台湾の主権が中国大陸の軍事力によって制限を受けているという事実は変えられない」との見方を示した。さらに、「『仮に台湾の人々が明確に統一に反対する』または『仮に台湾の人々が明確に独立を支持する』ようなことがあれば、中国大陸は台湾への武力行使を放棄するか」という質問には、78.9%が「中国大陸は武力による統一を放棄しない」との認識を示した。

また、若い世代は現実主義的な傾向が強く、仮に台湾の主権を守るための軍事衝突が台湾海峡両岸間で発生した場合でも、「平和が第一」として、政府の動員に応じる意思がないと同時に、人々が徹底的に抵抗することには賛成しないとの認識を示した。

さらに、集中討論会やデータの分析、研究結果の座談会で、国家アイデンティティーの変遷をまとめた結果、世代や学歴、育った家庭環境などのうち、世代間による差異が最も明らかだった。つまり、若い世代はますます台湾を主体としたアイデンティティーを持ち、その台湾意識とは、現実の政治と生活経験に基づく理性の上に成り立っており、民族主義や伝統的な感性にのっとったものではなかった。

以上をまとめ、以下の2つの特徴が明らかになった。第一に、台湾の若い世代は「法的な台湾独立は中国大陸が武力で両岸問題を解決しようとする構えを誘発することが明らか」と見ている。第二に、両岸関係に関する台湾の若い世代の態度は、明らかに実務主義的な傾向にあり、主権の保護のために生命を犠牲にはしたくないと考えている。

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