馬英九総統は5日午前、台北賓館で外交部と国史館が共同で開催した「中華民国と日本国との間の平和条約発効60周年記念展会及びシンポジウム」に出席した。馬総統はあいさつの中で、釣魚台列島の情勢の緊張を緩和するため「東シナ海平和イニシアチブ」を提唱するとし、関係各方面が自制し、争いを棚上げし、平和的な方式で争いに対処するよう呼びかけた。馬総統は、コンセンサスを探り、東シナ海における行動基準と資源の共同開発のためのメカニズム構築を検討、これを定めることで、東シナ海の平和を確保しようと訴えた。
馬総統は、釣魚台列島は台湾に付属する島嶼で台湾本島の北東に位置、台湾本島に最も近いところでは102カイリしか離れておらず、行政管轄上は宜蘭県頭城鎮大渓里に属しており、歴史、地理、地質、使用および国際法のいずれから見ても中華民国の固有の領土であることは疑う余地がないと説明した。
中華民国政府は釣魚台列島は台湾の付属島嶼であり、中華民国固有の領土であるとの立場を重ねて表明すると共に、政府の主張は、「カイロ宣言」、「ポツダム宣言」、「日本の投降文書」、「サンフランシスコ平和条約」、「中華民国と日本国との間の平和条約」に基づき、釣魚台列島は台湾と共に中華民国に返還されたというものだとしている。
馬総統はそして、中華民国政府は「東シナ海平和イニシアチブ」を提唱するとして、関係各方面に以下のとおり呼びかけた。
① 対立行動をエスカレートさせないよう自制する。
② 争議を棚上げにし、対話を絶やさない。
③ 国際法を遵守し、平和的手段で争議を処理する。
④ コンセンサスを求め、「東シナ海行動基準」を定める。
⑤ 東シナ海の資源を共同開発するためのメカニズムを構築する。
馬総統は、国家の領土と主権を切り離すことは不可能だが、天然資源は分かち合えるとし、主権争いのある海域や島嶼は世界に少なくなく、欧州の北海油田は成功したケースだと指摘、中華民国政府は「東シナ海平和イニシアチブ」を提唱し、関係各方面が争いを棚上げして協力メカニズムを築き、東シナ海の資源を共同開発できるよう望むと述べた。馬総統はまた、協力関係を生態系の保護と海上での救難、犯罪取締りなどへも広げ、みなの努力で東シナ海を「平和と協力の海」にしたいと希望した。