公共テレビは9月4日と25日の午後10時(台北時間)から、報道ドキュメンタリー番組「独立特派員」で2度にわたり、日本のフジテレビと共同制作した「台湾漆器的故事」(台湾の漆器物語)を放送する。フジテレビでは公共テレビでの放送後に放映される予定。
この報道番組では、日本の漆工芸の巨匠、山中公さんが台湾で、台中工芸専修学校を創設したこと、漆工芸と関連産業を育成したこと、陳火慶さんや王清霜さん、頼高山さんといった第一世代の一流漆職人を育てたことなどを紹介する。番組ではまた、山中公さんの娘、山中美子さんの訪台に密着、美子さんは台湾で貴重な父の手稿を文化部に寄贈した。
4日放送の「漆台湾」では、1961年から台湾の漆器産業が台頭し始め、3人の一流職人が自身の工房を構え、日本や沖縄、欧米向けの輸出が始まり、1970年代以降、輸出の中心は日本となっていったことなどを紹介する。その後、1990年代に入り、台湾で天然林の伐採が禁止され、漆器制作に必要な木材の供給源が断たれたことで、輸出受注も一気に落ち込んだが、一方で台湾の漆工芸はここで芽吹いた。
現在、92歳の高齢となった人間国宝の王清霜さんの人生には、台湾のそれぞれの時代の漆器産業の盛衰が刻まれている。
25日の放送内容では、山中公さんの娘で、現在90歳になる山中美子さんが来台、父の手稿など貴重な史料162点を文化部に寄贈し、父が台湾に来た当時の道のりをたどる。山中公さんは一生の精髄をほぼすべて台湾に残したと言える。台湾では工芸専修学校を創設しただけでなく、レストランも開いた。第二次世界大戦で日本が敗戦したため、山中公さんも心から愛した台湾を去り、着の身着のままで日本に戻ったが、失意のうちに3年後、生涯を終えた。
山中公さんの最も古い作品は蓬莱塗と呼ばれる。台湾ならではの特徴を備え、豊かな色彩と大胆な技法で名高く、題材の多くは台湾の昔ながらの庶民の生活を描いたものである。