台湾沿岸の海域面積は地球の海全体と比べれば極めて小さいにもかかわらず、世界のカニの1/10の種が生息する。深海のカニと浅い海のカニ、南方系(温水性)と北方系(低水温性)のカニがいずれもその中に含まれることが台湾に生息するカニの最大の特色である。
台湾の西海岸には広々とした干潟やマングローブ林の沼地があり、大量のカニが生息している。南部・恒春半島の熱帯海岸林ではさらに、世界でも珍しい陸ガニがいる。また、山の渓流、水田の用水路の土手や浅いところの石、落ち葉の下には30種類以上の淡水カニが生息している。これらはいずれも台湾の固有種である。
カニは秋に繁殖期に入る。旧暦9月にはメスは卵をたっぷり持ち、10月にはオスの「カニミソ」が増えるため、カニを食べるには最高の季節とされる。一方で専門家は、カニはどれでも食用に適しているわけではないと警告する。一部のカニは毒を持ち、多くはさんご礁の海岸にある潮間帯に生息する。こうしたカニの多くは鮮やかな色をしており、オウギガニに属するカニである。このため専門家は、一般の人が海でカニを捕まえて食べることのないよう呼びかけている。