経済部(日本の経産省に相当)は23日、「台湾海峡両岸サービス貿易協議(協定)」に関する誤解を解くための説明を行った。「密室協定」だとする批判に対して同部は、同協議はECFA(両岸経済協力枠組み協議)第4条による委任を根拠としており、ECFA両岸経済合作委員会が毎回の例会で交渉の進捗状況を報告してきたと説明した。
同部によると、サービス貿易協議では絶えず産業界とコミュニケーションを行っており、関連のサービス業の組合や協会などの代表と110回の諮問会議及び小型の座談会を重ねた他、広報活動も合計で延べ144回実施した。また、調印前には立法院(国会)で、非公開のもの1度を含め、合計3度の報告を行った。
さらに、立法院が開いた20回の公聴会にも参加したという。立法院(国会)での審査手続きについては、「両岸人民関係条例」第5条の規定に基づき、同協議は法改正に関わらないことから、行政院(内閣)は規定に則って同協議を立法院に提出したと説明。立法院で処理する際の手続きとその結果については、政府はこれを尊重するとしている。
サービス貿易協議が中国大陸から台湾への移民を開放するとの言い方について経済部は、同協議では中国大陸の人の台湾における就業、投資移民、永久居留権及び公民権は認めていないと説明。
さらに、同協議は中国大陸の労働者の受け入れを解禁し、台湾の労働者100万人以上が影響を受けると懸念する声に対しては、雇用市場は開放しておらず、中国大陸の労働者が台湾にやってくるかどうかの問題とは関係がないと強調。
サービス貿易協議では双方の開放内容が不平等であるとの指摘に対し、経済部は、協議内容は全体で考慮すべきで、一方が開放し、もう一方が開放しないから不平等だと判断するのは適切ではないと反論。さらに、同協議で中国大陸側が台湾に提供する待遇は外国企業に対するそれを上回っている一方、台湾が開放する64業種の一部で中国大陸側に与える待遇は、外国に与えるそれを下回るものだと説明した。
サービス貿易協議で、台湾は開放すべきでない事業を開放することにしており、中小企業や国家の安全に問題が出ると懸念する声に対し、同部は、建設業は中国大陸資本の持ち株比率の上限を12%としている他、会社の経営権を握れないようにしていると説明。また、同協議の第3条で、同協議は政府による調達には適用されないことが定められていると指摘した。電信事業については、開放するのは第一類ではなく、第2類の電信業の特殊業務3項目に限るとしている。これらは電信事業における売り上げに占める割合が低い。出版業は開放しない。また、印刷業への投資でも、既存の企業への投資しか認めず、持ち株比率も50%以下の条件を設けており、言論の自由に影響は出ない。
美容美髪業では、中国大陸側はすでに、中国大陸における台湾資本単独での経営を認めている他、台湾では早くから外資に開放していると指摘。旅行会社については、台湾は中国大陸の旅行会社による投資は3社しか認めず、さらに1社につき拠点は1ヶ所に制限すると説明、また、取り扱えるのは台湾の旅行者だけであることから、中国大陸を出発する時点から、中国大陸に帰り着くまで全てを請け負う独占方式は不可能と説明した。