中国大陸との台湾海峡両岸サービス貿易協議(協定)に反対する一部の人々が23日、行政院(内閣)の建物や敷地内に入り込んだ事件に関し、江宜樺行政院長(首相)は24日午前、国際記者会見を開き、政府の対応と立場についての説明を行うとともに、抗議活動の変質と自制が失われたことに心を痛めており、大変遺憾であると表明した。
江院長は、行政院は国の最高行政機関であり、われわれ中華民国の行政の中心であり、力によって略奪や占拠、破壊を受けることがあってはならない場所だと強調した。
また、江院長は、台湾は長年にわたりよく訓練された警察が、最も平和的で理性的な手法で群衆の争いを処理していると指摘、その原則は一貫して、可能な限り理性的で、穏便で、平和的なものであると述べた。ただ、前夜に発生したことは、街頭でのデモを警察が「鎮圧」したものではなく、逆に行政院に突入し建物を占拠しようとした人々が行政機関の執務を阻害したものであると説明した。
江院長はさらに、現時点で両岸サービス貿易に反対する団体から、どの条項について間違っているとか、どのように改正すべきとの意見を受けておらず、対話の全くないところで、とにかく同協議を撤回するのが先決であると主張するのみであり、これが民主主義が成熟した台湾にとって良い手本であるとは考えられないと述べた。そして、反対する人々が憲政機関を占拠し前提となる要件に応えさせてはじめてこの行動を終わらせる、という方法によって意思疎通するのではなく、民主的で平和的、理性的な方法で問題について話し合いたいと語った。
一方、教育部の蒋偉寧部長(日本の文部科学大臣に相当)は同日声明を発表し、学生による抗議活動がここにきて大きく秩序を失っており、参加当初の情熱から乖離したものとなっていると指摘、学生各自が冷静に考え、学ぶという学生の本分に速やかに戻るべきであると呼び掛けた。
なお、馬英九総統は23日、国内外のメディアに向け、同協議について記者会見を開いた。馬総統は、この協議は立法院(国会)での審議の段階にあり、手続きはまだ完了していないと同時に、現時点でも最終案は固まっていないため、同協議に関するいかなる意見についても、今後審議の過程で十分に伝達する余地があると述べた。また、法治なくして民主主義を守ることはできなくなるため、中華民国総統として、憲法にのっとり民主主義を守り法治を堅持する必要があると指摘、これは政府の確固たる基本的な立場であると馬総統は強調した。