国立故宮博物院は25日、今年予定される日本展に向け、展示物などについて説明する発表会を開催。「翠玉白菜(ヒスイの白菜)」や「肉形石」が日本で展示される期間の同博物院における展示プランを発表し、この2点が常設展示されている302陳列室に週替わりで展示する秘蔵の逸品を明らかにした。同時に、日本展のため貸し出される展示物231点のリストを公開した。
同博物院によると、この2点が日本の東京国立博物館と九州国立博物館で展示されている時期には、さらに魅力あふれる作品を展示する方針で、学芸員が所蔵70万点の国宝の中から展示品を選りすぐった。「翠玉白菜(清)」が6月17日から7月10日に東京で展示されている間、6月17日から24日まで「珊瑚魁星点斗盆景(清)」、同25日から7月2日まで「金甌永固杯および玉燭長調燭台(清・乾隆年間)」、7月3日から10日まで「彫木高足套杯(17世紀・西洋)」が展示される。「肉形石(清)」が9月30日から10月23日まで九州で展示されている間、「翠玉小白菜(清)」、「翠玉白菜花挿(清)」、「園蔬図玉筆筒(清)」といった白菜をモチーフにしたヒスイの作品3点が同時に展示され、精彩を放つと期待される。
故宮博物院は、展示物はすべて芸術的な価値や工芸の精緻さで、日本で展示する2点に匹敵するものだと説明。「珊瑚魁星点斗盆景」は、生き生きとした華やかな彫刻であるだけでなく縁起もよく、受験シーズンの7月の展示で受験生たちの合格を祈願したいとしている。「金甌永固杯および玉燭長調燭台」は、金と玉(ヒスイ)で作られた宮廷に伝わる秘蔵品であり、国が末永く栄えることを象徴し、皇室の格調高さも表れている。「彫木高足套杯」は、何層にも重ねた舶来品の木彫りの盃のセットで、軽く薄い木に細やかな花の模様が彫られ、17世紀の西洋の工芸の極致をみることができる。10月には白菜がテーマのヒスイの作品集で、ヒスイの白菜に込められた自然の美しさを楽しむことができる。
一方、同博物院が開催する日本の博物館2館の所蔵品展「日本美術之最―東京・九州国立博物館精品展」では、東京国立博物館が国外に初めて貸し出す平安時代(12世紀ごろ)の「孔雀明王像」、室町~安土桃山時代(16世紀)の「観楓図屏風」と「檜図屏風」、江戸時代(18世紀)の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」や、九州国立博物館の国宝、鎌倉時代(13~14世紀)の紙本墨書「栄花物語」と「太刀」、室町時代(15世紀)の紙本墨画「周茂叔愛蓮図」など、2館で合計150点のうち、国宝と重要文化財68点が含まれる。
「日本美術之最」は、2017年10月に台湾中南部、嘉義県の同博物院分院「南院」で3カ月にわたって行われる。現時点の計画では「古代文化のはじまり―祭祀と生活」、「文明の導入―仏教と律令」、「古典美の完成―貴族の世界」、「戦争と静けさ―武家の文化」、「市民の源流―町人と職人」、「近現代とのつながり―伝承とイノベーション」の6部に分けて展示し、系統的に日本の芸術と文化を一望することができるようになっている。